第36話 到着!!!

息をすうーっと吸い込み、意を決して話しかけてみることにする。大丈夫。負けるな俺!


「え、えっと、ここに何で馬車があるんですか?道とかなんかありましたっけ?」


するとお姫様は愛想良くはにかんで、


「転移魔法で馬車ごと転移してきたんです。そしたら森の中で。笑えますよね?」


な……なんという笑顔!コミュ力ZEROの俺には面と向かって話すものキツイ!


「流石に無茶でしたなぁ。」


お、男の人が喋った??


「私は辺境伯直属護衛騎士のフィリスと言う者だ。危うく全滅するところだった助かったよ。近頃の魔物は一体一体が非常に強く、知能も上がっているからなぁ。」


おお、それ魔王軍の影響だよな。知ってるぜ!


会話のコツは話題を広げることって本で読んだことがある。まあ、話す人居なかったけど。


「そうですよね。近頃は、魔王の動きが活発になって来ていますし。(ベテラン風)」


完璧な返答!よく言えた俺!


「その通り。我々騎士団も魔物退治に奔走せねばならない始末なのです。ところで失礼ながらお聞きしますが、貴方のお名前は何でしょうかな。見慣れない服装でしたので。」


……キタ!自己PRタイム!これで自分の印象が決まる、会話の第1歩!


「えっと、自分の名前は優希です。出身地は、遠くの方から来ました。」


「そうか。長旅だったろう。ユウキさん、どうぞシェルの街へ寄っていって下さい。」


俺と強そうな男が会話?をしていると、


「それならば、ギルドで冒険者登録をされてはどうですか?これ程の強さがあれば、試験も簡単に突破できると思いますよ!」


キター!願ってもない展開ら!


「そうします。ありがとうございます。」


深々とお礼をした。そして、お姫様と数人の護衛と森を抜ける事になった。


「それにしても、この馬車をどうやって運んだものかねぇ。」


気前の良さそうに男が言った。


「仕方がありません。回収は出来ないので、このまま街に向かってしまいましょう。」


馬車は傷ついておらず、新品っぽい。てか、馬車こと転移魔法使うとかすげぇな。


『……マスター。スライムに回収させればいいのでは?』


うおろ喋った!お前なんだよ突然。


『そうですか。なら静かにしていますよ。』


でも確かにな。天才か?


スライムは魔法をぶっぱなした後、しれーっとポケットに戻っている。すげぇ、有能。多分俺が水魔法を使った事になってるな。


「スライム、この馬車丸ごとしまっといて!」


するとしゅるしゅると体を伸ばしてそれを包み込んだかと思えば、一気に縮こまって元のかわいいスライムに戻った。


「魔物だ!姫様、下がってください!」


ちょこんと佇むスライムに、護衛たちが一斉に剣を構えてしまった。


「ちょちょ待って!このスライムは、その……ペットだよ!ペット!」


人前で魔物を出すのは不味かったかなぁ?


「ユウキさんはテイマーなのですね?」


テイマー?そ、それだ!それって事にしよう。


「そうですよ。俺はさすらいのテイマーなんですよ。」


「ほお、従属魔法。私は1度も見た事が無いのだが、これ程凄いことが出来るのだな。」


従属魔法?そんなもの、ステータスにあったけっけ?


『鑑定結果……マスターは【従属魔法Lv1】を習得済みです。』


あれ、そんな物あったっけ。まぁいいか。


「ユウキさん、シェルの街に向かいましょう。街には、凄いものが沢山あるんですよ!」


俺は頷いて、街に向かうことになった。


そして門の前に着いたのだが、なんと顔パス!この人達、お偉いさんとかなのかなぁ。知らんけど。


「こ、ここが異世界の街……!」


感想はもうアニメの世界といか言いようがない!レンガ造りの建物が、複雑な道沿いに乱立している。


「よっしゃ!行くぜ冒険者ギルド!」


「ちょっと待って下さい!ユウキさん?」


街に入るなり、彼女らを差し置いて俺は駆け出した。俺は振り返る。


「待ってくれ!騎士としての面目が立たない!せめて屋敷に……」


「街に入らせてくれただけで十分です!ありがとうございました!」


とそれなりの声で発して、中心部へ向かった。今考えれば、何で逃げたんだろう。まあいっか。ポジティブ思考大事よ!


────────────────────


思ったんですけど、この2話要りませんよね。


無い方が文脈良いし、書きやすいし……でもいいや!ポジティブ大事思考!


ま、まぁ、のちに伏線とかで登場させればいいからね。乙

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