第29話 激闘!!!

前方から影か近付いてくる。


「で……でか!あれがオーガかよ……。」


身長は2メートルをゆうに超える。だが図体は横にも長く、筋骨隆々なのだ。


音もなく、目の前の獲物を狙おうと目を研ぎ澄ましている。


「鑑定!片方のオーガを鑑定!」


『鑑定結果……個体 オーガ 魔物 Lv24

名前……無し 性別……男 状態……警戒 ☆首領個体

HP……147/147

MP……0/0

ATK……B〜

DFE……?

SPD……B〜

スキル……【剛力Lv3】【打撃武器Lv5】【雄叫びLv1】

オーガ……Bランクに指定される魔物。非常に力強く、凶暴な性格。ゴブリンから奪った棍棒を振り回して打撃攻撃をする。知恵は低いが、この圧倒的な強さから人々に恐れられている。

弱点魔法……火属性 弱点部位……胸部』


「おおお。ステータスとか、前よりも鑑定出来るものが増えている気がする……?」


『はい。マスターが無駄な事に鑑定スキルを使用した事により、スキルのレベルが上昇しました。そのスライムよりも遥かに優秀です。』


そうかなぁ。スライムの方が強いと俺は思うのだが……。


『警告 マスター。来ます。』


「うお!危ねぇ。」


振り下ろされた棍棒をバックして回避した。この攻撃当たったらヤバそうだな……。


『突破からの逃亡は得策では有りません。オーガはスピードも持久力も兼ね揃えています。


サポートをするので、魔法発動の準備を。』


「了解だ!鑑定!」


『スライムは危険なので戦闘に参加させないで下さい。一撃でやられる可能性があります。』


それはヤバい。是が非でも護らねば!


「スライム!ポケットの中に隠れておいて!」


スルスルと入って行った。


『魔力を節約して戦うべきですが、長期戦は不利です。一気に弱点である胸部、心臓への攻撃を行いましょう。先ずは下級魔法です。』


「了解だ!ファイヤボール×2!」


左手から放たれた火球が命中する……が、全く動じずに巨体が動き出す。


ヒュっと打撃が身体を掠める。


「ちょっ……速すぎ……!」


2体居るから連続回避はキツイな……


そういえば、もう一体は……


『その位置でかがんで下さい』


脳に響いた言葉通りに膝を落とすと、後ろから風を切る音が聞こえた。


「あっぶねぇー!」


『今です。前方の個体に、至近距離でBクラス火炎魔術【ファイヤバレット】を胸部に命中させて下さい。


それで、一撃撃破が可能と推測されます。』


「ファイヤバレット?俺そんなの使えないよ!?」


『魔法発動の補助をします。スキル名を強くイメージして下さい。』


オーガ2体による3連撃を躱し、屈んだお陰で隙が出来た。やれる……!


「っ……ファイヤバレット!」


大きく振りかぶり、空いた目の前に躍り出て右手を突き出して魔法を発動させた。


僅か数十センチの間合いから放たれた高速の紅弾は、オーガの心臓を貫く。


「ふう……。あと一体……」


『後ろから急速接近。回避して下さい。』


「えちょ、無理……!」


使った事の無い高度な魔法を使用したせいで、身体が疲労したのか動かない。


「やば……」


その時、ポケットから急にスライムが飛び出して来た。


そのまま打撃が直撃する……と思ったら、インパクトの寸前、目の前に水色で半透明な障壁バリアを展開させた。


「スライム!」


『鑑定より……スライム Bランク水魔法【水流障壁ウォーターバリア】を会得。』


オーガの渾身の打撃が弾かれた。今が絶好のチャンス……!

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