第27話 ポーション、大量!

しばらく草木を掻き分けて森を進んでいると、本当に川があった。


「おお!川だ。鑑定って本当に合ってるんだな。」


『当たり前ですよ。スキル鑑定は超高性能な自立演算システムですから。』


森の中に一筋の小さな川が流れている。


「じゃあスライム、川の水全部吸っちゃって!」


今度はホースの口に形を変えて、川の水を音も立てずに吸っていった。


元々それ程流域面積はないのだが、みるみる水位が減少して行って、川の底が見える位になった。


「よし!……て、吸いすぎじゃん!」


みるみる水位が下がって行き、川の水か完全に干からびてしまった。やりすぎたのでは……?


『鑑定結果……水源まで完全に消失。取得水量は約2700万リットルです。』


吸引力高すぎ!でもこれって、周囲の環境とかに影響ありそうだな……


「んー、まいっか!無限に収納出来るなら困ることも無いしね!えらい!!」


スライムは何事もなく元の姿に戻っていた。何者なんだ、こいつ。


というか鑑定、どうしてこのスライムはこんなに強いの?一般的な個体では無いよね?


『鑑定結果……通常のスライムはとても弱く、ステータスやスキルなどを持ちません。


ただこのスライムは稀に生まれる【特殊個体】の為、通常では有り得ないスキル等を会得していると考えられます。』


なるほど……つまりすごいって事か。


まあそれは良いとして、次はポーションの作成だな。


「スライム、これを使ってポーション作れる?」


四角形の固体ポーションを差し出すと、にゅるにゅるとした棒状の身体で包みこんだ。



俺はじっとスライムを見詰めて見守っている。しかし、スライムに変化は起こらない。


「あれ、何も起こらない。スライム、大丈夫?」


『鑑定より……スキル発動中だと推測されます。』


10秒程の静寂の後、スライムがまたホースの口のように形を変形させた。


そこからなんと、消防車から噴き出される水の100倍はある威力の水流ジェットが、枯れた川に向かって放たれたのである。


「うわぁ!!!ちょちょ、ストップストップ!」


緑色の濁流の勢いは凄まじく、四方八方に飛び散りまくり。当然、俺も大量に液体を浴びた。



『鑑定より……HPが全回復しました。』


「ううぇ。ちょっとやり過ぎかな……。」


スライムはしゅんと落ち込んでいるようだ。


するとスライムが糸状の渦の様になって俺の身体にまとわりついた。


「ちょ……なに?」


しゅるしゅると全身を回った後、元のスライムに戻った。なんと俺の服が全部乾いている。


「吸って乾かしてくれたのか!ありがとう!」


スライムが元気そうにぴょんぴょんした。かわいい。


『鑑定より……下級ポーションは専用のポーション瓶に入れて使用する物です。』


そうだよなぁ。でもスライムがポーションを作れる事は分かったぞ。


「じゃあ鑑定、ポーションの瓶を作成する方法は?」


『鑑定結果……錬金スキル 又は創造スキル 等が必要です。


1つ提案なのですが、時間をかけてポーション瓶を作るのは非効率です。販売されている物を購入すればよろしいのでは?』



確かに。……って、何で今までそれを思いつかなかったんだ?俺!しっかりしろよ!


ポーションもそうじゃねえか。何でわざわざ作ろうとしたんだろう。まあ、可愛くて最強スライムと出会えたから良しとしますか。


体力も回復できたし。


よし!とりあえず街行こう街!


「ねぇ鑑定、1番近場の街はここからどれくらい?」


『鑑定結果……約8km北西にシェルの街があります。』


「遠いな!!」


『最初から貴方は反対方向に進んでいましたよ。事前に行先を決めていたのなら、計画的に進むべきでしたね。』


「8kmかぁ……。まあ、スライムちゃん、一緒に街まで行こうぜ!」


嬉しそうに跳んで肩に乗った。うわぁ可愛ええなぁ。


────────────────────俺は(作者)は気付いてしまった。


いつから【鑑定スキル】が主役だと勘違いしていた?と。


見てみろ俺!タイトルは

『クラス転移したけどいじめられっ子の俺は異世界でもハブられたので、自由に生きたいと思います!』だぞ!


鑑定が強いなんて何処にも無いじゃないか!


そしてキャッチコピーが『ハズレスキル鑑定が最強』だとか何だとか。


そのキャッチコピーは最近変更したばかり。


つまりだぞ!!!鑑定スキルは最強の内の1つ!スライムと併せて最強でおkなのだ!!


以上文字数稼ぎと迷走の言い訳でした。

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