第26話 スライムと冒険に!

「SSSスキル無限収納……だと?俺の【鑑定】よりも絶対強いスキルじゃねえか!」


『違います。スキル【鑑定】は否応なく最強のスキルです。異論は認めません。』


「あーはいはい。スライムちゃん偉いねぇ〜」


スライムが身体をぷるぷると上下に振る。


『スライムに性別はありませんが?』

「可愛いから何でもいいんだよ!」

『私には理解出来ませんね。』


それにしてもスライムは大量の薬草を飲み込んだはずなのに全く大きさが変わっていない。


異空間に無限に収納できるスキル……って、チートやないかい!


えっとじゃあ、他の物も収容出来るのかな。


「スライム、あのゴブリンロードも収納できる?」


こくりと頷いて空に跳んで行ったと思うと、瞬く間にゴブリンの亡骸が包まれて、気付けば無になっていた。


「すごいねぇ。よしよし!」


屈んでスライムを撫でてみる。予想通りぷにぷにしていて、無限に触っていたい程の触感の良さだ。


スライムも喜んでいるように見える。


『お楽しみの所失礼ですが、薬草によるポーション作成はどうするのですか?現在のHPは1しかありません。早急の回復が必要です。』


「あー確かに忘れてた。ポーション作らなきゃなぁ。薬草って吐き出せる、スライム?」


するとコクコクと頷いて、流動体の身体を変形させて、鳥のくちばしの様なものを象った。


そこから1塊の小さな緑色をした何かが吐き出された。


形状は正方形で、一辺が10cm程の大きさだ。


「あれ?薬草じゃ無い。ポーションでも無さそうだし……。鑑定、これ一体何?」


地面に落ちたそれを拾いながら言った。



『鑑定結果……下級固形ポーション 純度 100.00%


説明……薬草に含まれる薬用成分を抽出し、粉末状にしてから固めて、圧縮したもの。


一応ポーションに分類されるが、そのままでの使用は殆ど不可である。


水に希薄すると、通常の「液体ポーション」になり、使用が可能になる。』



これが下級固形ポーション?偏にポーションと言っても、このまま齧るのは無理そうだな。


まるで、金属の様な硬さだけど、重さは割と軽い。


「スライム、ありがとうね!」


またもや嬉しそうに飛び跳ねた。


『鑑定より……スライムの持つスキル【成分抽出】によりこの物体が造り出されたと推測。』


「マジかよ。ますますこのスライム、チート過ぎるやろ。」


『鑑定スキルの方が性能面では……』


「スライムかわいいからおけ!」


『ともかく、その状態ではまともにポーションを使用する事が出来ません。


そこで進言なのですが、水場に行って水をスライムに与えると良いと思われます。』


「んー、何で?」


俺はスライムをぷにぷに触りながら言った。


『このスライムが持つスキル【回復薬調合】に水が必要だからです。』


「あーなるほど。スライム、水があればポーション作れる?」


今度はスライムが身体の1部を変化させ、片手のグッドマークを作り出した。


「凄い!じゃあ川まで行こっか!」


スライムが跳んで肩に乗った。形が変化するので、両肩に乗り切るのである。


「よーし!スライムと出発や!」

『水場はその方角ではありませんが』

「あっそうなの?」


『はぁ……貴方の考えはつくづく理解出来ませんね。』


鑑定の声がやや低くなったような気がした。


こいつ、感情無いとか言ってたけど絶対あるやろ。


まあともかく、もう一度川に向かうことになったのである。

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