第21話 薬草、食べるよ!

薬草か......そもそも薬草って、森の中とかに生えてるものなのかなぁ。


付近をきょろきょろ見渡しながら、適当な草に鑑定を使ってみることにする。


「えっと、この草を鑑定!」


『鑑定結果......レーテル草 分類 雑草 どこにでも生える生命力の高い草だが、食用には不可。栄養もほとんど無く、効果は無い。

効果......無し 栄養......ほぼ無し』


えぇー、雑草かよ。片っ端から鑑定するのは、かなりめんどくさいなぁ。


「えーと、鑑定さん?周りの植物を一括して鑑定する事はできる?」


『鑑定結果......可能です。しかし、スキル鑑定のLvが低く、処理能力が低いため現状では難しいかと推測されます。視野に特定の植物のみマーキングする事は可能です。』



特定の植物のみマーキング?それだ!


「それやって、鑑定さん!」

『対象を選択してください』

「じゃあ薬草全般お願い!」

『了解しました。鑑定結果を視野に表示します。』



すると、森の茂みに生えている様々な草の中に、一斉に電子的なアイコンのような物が表示された。


「凄い!これ全部薬草なの?」


『はい。現在視野に表示している薬草は全て「下級薬草」です。』


ものすごい量だ。辺り1面って程では無いけど、森の奥まで「下級薬草」と複雑に生え乱れている草々に表示されている。


「よっしゃあ、乱獲するかぁ!!!」


腰をかがめて、手当り次第に雑草を引きちぎり、魔物を倒した場所に集めていった。


「これ楽しいな。簡単に取れるし!」


簡単に取れて、時間も忘れて薬草取りに熱中していた。


あと俺はA型なので、部分的に薬草を取るのが憚られたため、規則的に取り尽くしたのである。


そして、周囲100メートル位の薬草の完全根絶に成功する。


「ふう......。良く考えれば、こんなに要らなかったな。」


積み重なった下級薬草は、腰ぐらいの高さまでになった。絶対取りすぎたやつ。


「ねぇ鑑定、下級薬草ってなに?」


『はい。下級薬草は主に森林や草原などに生える、一般的な薬草です。薬効成分を含み、そのまま食べると僅かにHPの自然回復を促します。調合スキルなどを用いて、下級回復ポーションを作成する事も可能です。


HP回復……1束につき1回復 回復速度 1分間に1 栄養......ほぼ無し』



1束につきHP1か。ならこれだけ取っても問題無かったのかも?


「鑑定、この薬草合計何束分ある?」

『96束分です。』


96束。HP96回復できるのか。


最大HPが91で今が6だから、85束食べれば全快だ。俺、暗算早いね!



......と言うか、薬草ってどうやって食べるんだ?


そのままむしゃむしゃするのか。それとも、茹でた方が良いのかな。鑑定、教えて!


『はい。茹でると薬効成分が流出するので、生で食べるのがおすすめです。ただ、ポーションには敵いませんが。』


生?生かよ!生で草を食べるのは流石にキツそうだな......。



まあ仕方ないか。1束、食べてみようか。


俺は恐る恐る、草わらのように積み重なった薬草から1束分だけ手で握る。


「えぇー。まあ......。いただきます!」


勢いよく口を開け、草を放り込んだ。


そして数回むしゃむしゃと咀嚼をしてごくりと飲み込んだ。



「くっっっそまずい!!!!!」



────────────────

なんとか間に合った

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