第18話 決戦じゃあ!
じりじりと魔物は距離を詰めてくる。背後には巨大な木があって、これ以上後退出来ない。
「ファイヤボール!」
魔力消費がそこまで多くない魔法を使う。しかし敵はひらりと躱してこちらに突進してくる。
「うわ、あぶね!」
バックステップで振り下ろしを避けた。この隙だ、「ファイヤランス!」。
敵の目の前でCランク魔法を放った。これで敵もひとたまりもないはずだ。
やがて爆炎と土煙が晴れると、巨大な陰が棍棒で身を守っている。敵はまだ健在だ。
「まじかよ。炎の槍を武器で防御したのか。魔物は知恵を持たないと聞いたが、なかなか賢いんだな。」
再び距離をとる。
さっき陽キャが剣を棍棒で折られていたし、近接戦闘はこちらが圧倒的に不利。基本的なステータスの差が段違いだ。
ならば、距離を取りながら魔法を食らわせるか。でも魔法は遠距離だと致命打になりにくい。ならば......
ゼロ距離で火炎魔法をぶち当てるしか無い!
今度はこちらから動き出す。即座に抜刀し、剣に魔力を集約する。
「
刀身がめらめらと火を出して紅潮し出す。
そのまま的の棍棒に当てるように剣撃を重ねた。
一撃目はかち合ったが二激目で弾かれる。体勢を崩された間に、脇腹に打撃を食らってしまい、飛ばされてしまった。
「ぐっ......痛い......。」
直ぐに起き上がったが、かなりのダメージを受けてしまったようだ。
俺は残り体力を確かめる為、思い出すかのようにステータスオープンを使った。
『名前…山崎悠希 人 年齢…15 スキル…【鑑定】 【火炎魔法】
ステータス Lv2 HP…3/34 MP…19/60』
HPが強烈に減少している。上手く衝撃を受け流したのに、一撃で30ダメージ越えかよ。
魔力も残り少ない。こんな逆境でどうすれば良いんだ......。
ゴブリンロードとは間合いを取っているが、少しずつ詰めてくる。時間稼ぎは無理そうだ。
折角自由に生きられると思ったのに、開幕からこれかよ。こんなところで、死にたく無い。でもどうすれば......。何か俺にも強いスキルがあれば......。
スキル?鑑定だ。ゴブリンロードの状態を鑑定するんじゃなくて、ゴブリンロードという魔物を鑑定すれば良いんだ!
再び巨体に向かって鑑定をしようとするが、使わずとも脳に情報が入ってくる。
『鑑定済み ゴブリンロード 魔物 Lv20〜?
名前...無し 性別...不明 状態...激昂?
ステータス 解析不能
スキル...咆哮Lv?危険度 不明 その他のスキル及び情報...鑑定不能』
さっき鑑定したからか。そして、「ゴブリンロード」を【鑑定】!
『ゴブリンロード......魔物 ランク...C以上
ホブゴブリンの進化形態。非常に高い知能を持ち、同種のゴブリンを統率する。また、武器を扱ったり罠を仕掛けたりするなど、高度な戦略をとることもできる。ステータスはホブゴブリンよりも向上している。弱点は頭部で、頭を破壊されるとHPが残っていても死滅する。
分類...ゴブリン種 進化前 ホブゴブリン 進化後? 平均ステータス...不明』
なるほど、頭か。ならば頭に今放てる最強の魔術である「ファイヤランス」をゼロ距離で打ち込んでやる!
巨体が加速した。俺は息をのんで相対する。
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