第17話 魔物討伐遠征③
陽キャ達に急いでついて行くと、木々がはれて一際広い空間に出た。日光が当たり、草が生えていない。
そこに10数体のゴブリンが、凶悪そうな顔をして襲いかかって来た。
「よっしゃ、やるぞ!」
先ず陽キャが真っ先に魔物をへ向かって走って行った。俺は、後方で魔法を連打する。
「ファイヤ、ファイヤ!」
俺が放った魔法も数発当たっていた。良し、これで戦闘に参加してます感を出すのだ。
瞬く間にゴブリンの残骸に辺りが溢れた。制圧力高すぎだろお前ら。
「俺Lv2上がってレベル3になったわ。もっと狩りたいから、先に行こうぜ。」
更に陽キャが突っ走る。全く、俺らの気持ち考えろっての。
走りながら一応「ステータスオープン」と念じると、Lvが2になっていた。
俺達は走りつつ、雑魚モンスターを倒しながら森の奥へと進んだ。すると女子が、
「ねぇねぇ、流石に疲れたからもうそろそろ帰らない?あと、帰り道分かんないし。」
と不満を垂らしたが、
「じゃあお前らだけ先に帰ってろよ。俺は1人で行ってくるからさ。」
と陽キャが反駁する。ここに来ても割れてるな。別に俺は疲れていないし、かなり遠くまで来れたから、そろそろ逃亡しようかな。
3人の喧嘩の仲裁に高橋君が奮闘している。俺は、しらーっと森の別の方向に消えていこうとしたその時だった。
「グワァァァァア!」
凄まじい咆哮が森を震撼させる。俺らが振り返ると、そこには巨大すぎる魔物が無数の子分を連れて立っていた。
「何あれ、ゴブリン、の進化系......?」
その威圧に俺らは完全に畏怖してしまった。
しかし、ここで恐れないのが陽キャの阿部田だ。
「ようやく強そうなのが来たな。瞬殺してやるぜ!お前らはそこで観戦してるんだな!」
いやぁ、フラグみたいな発言するの、やめてもらっても良いですか?明らかに俺らより強いですよね。
出来れば魔力は温存しておきたかったが、普通のゴブリンと比べるとあまりに大きすぎる個体を鑑定してみよう。勝てる相手か判断を......
『鑑定結果 ゴブリンロード 魔物 Lv20〜?
名前...無し 性別...不明 状態...激昂?
ステータス 解析不能
スキル...咆哮Lv?危険度 不明 その他のスキル及び情報...鑑定不能』
いややばいって!Lv20は無理無理!とにかく、この事を早く伝えて逃げないと......
「行くぜ!おりゃあ!」
もう手遅れかよ。けど、勇者の力があればレベル差も覆せるのかも?
思いっきり振りかぶって袈裟斬りを決めようとするが、巨体が棍棒を横薙ぎに振り払うと、剣が折れてしまい、体が吹っ飛ばされた。
「うわぁぁぁ!」
「阿部田君大丈夫?」
高橋君が駆けつけるが、巨大な魔物は尚も接近してくる。
「くっ......こいつはやべぇ。俺は先に逃げさせてもらうぜ。」
とだけ言い放って立ち上がり、反対方向へと走って行った。
「なんかヤバそうだから私も逃げるわ。陰キャ君、頑張ってね〜。」
ちょっ!おい!なんで俺だけ置いてけぼりにして逃げようとするの?!
「っ!山崎君も早く逃げよう!このパーティで1番強い阿部田君がかなわないなら、僕たちに勝ち目は無いよ!」
「うん、そうさせてもらう......ってええ?」
俺だけしらーっと逃げようとしたせいか、魔物の接近方向に俺がいて、完全に退路を阻まれている。
魔物を挟んで、高橋君と向かい合う形だ。
「そうしたいんだけど、逃げれない。俺は勝手に逃げとくから、みんな先に行っといて!」
「で、でも......」
「大丈夫、何とかなるから。早く!」
「......ごめん!」
そう言うと、高橋君は来た道を全力で引き返して行った。
気づくと、周りに数体のゴブリンが囲んでいて、完全に包囲されている。
「やるしかないか......。こいつを倒して、シェルの街まで辿り着いてやる!」
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