第16話 魔物討伐遠征②

陽キャ女子2人が行きたくないと騒ぎ、対してうるさい阿部田は早く行こうと催促している。


そして高橋がそれを宥めようとしているが、俺は傍から見ているだけである。


できれば話かけたく無い。でも、ここは俺の出番だ!


「えっと......まあ、喧嘩は良くないと思うよ。みんなで仲良く行った方がいいんじゃない?」


「うっせぇな!お前は黙ってろ!」


陽キャ2人から即否定された。悲しい。



「そうだよ。山崎君の言う通り、早く出発しないと怒られると思うよ。取り敢えず、森を探検してみようよ。ね?」


高橋が仲裁すると、如月が「ちっ、ならいいけど」と返答する。おお、優等生ナイス。



「やっとかよ。俺は早くLv上げたいんだって。さっさと魔物倒しに行くぞ。あと陰キャは着いてくんな。」


ふぁ?何でだよ、折角仲良く行こうとしてたのに。


「それなー。陰キャがいると戦えないんですけどー」


そんなに言うなら1人で行ってやるよ!って吐き捨てて逃亡したいが、ここからでは奴らの足が速すぎて逃げられない。もう少し、機をうかがう必要があるな。


「まあまあ、行くだけ行こうよ。」


高橋君のお陰で、何とかパーティで行動することになった。ほぼ面識無いけどありがとう。優しい。


念の為俺は小声で「おk」と言っておいた。



★☆★


「てかさ、山崎君って、ずっと訓練の時いなかったよね?」


優等生君が歩きながら話しかけて来た。


「あー。だって俺のスキル弱いし、他の人迷惑だと思ったからさ。」


「それな!無能はマジでパーティに要らないんだけど。」


ちょおい!今俺と高橋君が会話してるんだけど?割り込まないで頂けますか?


「お前のスキル【鑑定】だもんな。戦闘とかほぼ無理だろ。」



「そんな事は無いよ。どんなスキルだって、有効な使い方があるから。」


おお、こいつめっちゃ優しいな。会話の流れを変える為にも、何か質問してみよう。


「じゃあ、高橋のスキルって何?」


「俺は【精霊宝剣スピリットソード】だよ。精霊の力を剣に集約して強化したりするスキル。」


何だそれかっこいい。いかにもチートそう。


「あそうだ。この機会に互いのスキルを公表しようよ。あと、スキルの能力とか。」


「いいぜ。俺のは【鬼神化英語の何か】だ。スキル発動で身体能力を強化したり、文字どうり鬼神を具現化させることも出来る。」


「私は【無限魔力インフィニティ?】。無限に魔法が使える的な奴だけど。」


「如月さんすごーい!私は【飽和強化《》】で、色んな能力を強化するスキルだよ。」


うんなるほど、みんなチートやないか。俺だけよく分からない物しか鑑定出来ない雑魚スキルなんだけど。あと、使う度に鑑定できるものが増える。



そんな風には森の中を話しながら歩いていると、前方の草むらが揺れ出した。


「お、魔物か!」


すると阿部田が真っ先にかけていき、剣を抜き捨てて魔物を真っ二つに斬った。


「よっしゃあ!1キル!」


うわ、速すぎる。


「こいつはゴブリンだね。そんなに強い魔物では無いけど。」


「そうだな。ゴブリンは集団でいるって聞いた。もっと先に進もうぜ!」


阿部田が走って行き、俺らはそれに着いて行った。


ゴブリンの残骸を見ると、少し赤い血が出ているくらいで、あまりグロくない。さすが、ラノベみたいなファンタジー世界だな。


「山崎君、早く行かないと置いてかれちゃうよ!」


俺は踵をかえし、慌てて陽キャ達の後を追っていく。

────────────────────最初は胸糞展開を考えていましたが、結局止めました。理由は見苦しいというかなんというか......。

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