第11話 訓練初日から遅刻かよ!
「ふぁー、よく寝た。」
眠気まなこを擦りながらベットから起きる。
「ずいぶん長い時間寝ちゃったみたいだけど、今何時なんだ......?」
部屋のカーテンをバサって開けると、朝の清々しい光が差し込んで来る。
ふと振り返ってアナログな時計を見てみると、短針が8時を示していた。
「8時......?朝?やばい!訓練って、7時30分からだっけ。もしかして俺、昼くらいから朝まで寝ちゃったのか?流石に寝過ぎだろ。そんな事よりも、早くしないと!」
慌てて部屋のドアを開け、服装もそのまんまでダッシュで階段を駆け下りた。
やたら長い階段をようやく
「ここが大広間か。えっと、みんなはどこだ?」
周囲をきょろきょろ見回して見ても、生徒はおろかお城の人もいない。
クッソ、もうみんな訓練を始めちゃったのか?まあ、遅れた俺が絶対悪いんだけどさぁ、初日からこれは心が折れるなぁ。
どうしようかとうなって思案を重ねていると、
「あなたは勇者ユウキ様!お待ちしておりましたよ!」
甲高く甘ったるい声が聞こえてきた。振り返ると、昨日のお姫様だ。
「すいません!寝坊しちゃったみたいで!訓練とかって、もう始まってるんですか?」
「はい。今は外で実技の訓練中です。今からでも参加されますか?」
一瞬
「そうします!皆は、どこにいますか?」
と息を切らしながら答えた。
お姫様は「こちらです、着いてきてください!」と一緒に行ってくれるようなので、不安ながらもついて行く事にした。
──訓練所
城門を出て、運動場のような広い場所に入った。
金属色の鎧を着た兵士達が、剣を振ったり弓で射ったりしている。
「あれ?陰キャ君は遅刻ですか〜?」
聞き慣れた女子の声だ。しかしこちらには、この世界のお姫様がいるのだ!!!
「はい、ユウキ様も遅れて訓練に参加するとのことです。勇者様方、よろしいですか?」
ふっ!これで俺を虐められまい!
そこには、クラスの男女数人と、訓練官とおぼしき人達がいた。各々が剣や槍などの武器を持ったり、炎を出したりしている。
すごい、あれ魔法かな?俺も使いたい!
クラスの奴らは、はーいという返事をした。これで何とか、訓練に参加できるぞ。ハブられなくて良かったなぁ。
「では、私はこれで失礼します。」
俺は王城の方に去っていった。
皆がいる方へ、少しずつ足を進めて歩いていく。僅かに拍動が早くなっていくようだ。
「というか、陰キャ君なんで遅刻したの?まさか、寝坊でもした訳?」
いやそうなんだけどさぁ。もう勘弁してくれよ。と俺がたじろいでいると、
「いけませぬぞ、ユウナ殿。魔王軍討伐の為には、勇者方の連携が大事なのでございます。無駄な
白く長い髭を生やした、貫禄のある老人がそう言った。陽キャ達は、「はいはーい」とかやる気無さそうな返事をする。
「あなたがユウキ殿ですか。遅刻は厳禁ですぞ。集団の規律を厳守することが、自身の成長に繋がるのです。」
威厳があるが、どこか優しくたしなめるような口ぶりだ。厳しそうだけど、良い人そう。
「それと、遅刻の理由は何ですかな?」
「自分の部屋で、スキルを使ったんです。そうしたら疲れて眠くなって、気づいたら8時でした。」
「成程、それは魔力枯渇ですな。スキルや魔法を連続使用すると、体内の
俺はふむふむと納得した。睡眠大好きな俺でも、そんなに寝るわけないよね。
「さて、それでは個別の訓練を始めましょうかな。先ずは、貴方のスキルの確認をさせていただきますぞ。」
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