第9話 やっと解散!
「いいよー」とすぐに賛同し、解散の空気が流れる。流石陽キャ、仕切りが上手いね。
生徒たちは次々に客間を出ていった。そして俺も、最後の方にしれっとドアへ向かう。
はあ、ようやく一人になれるのか、と少し安堵した。全く、これ以上構わないでほし......
「てかさ、陰キャ異世界だからって調子乗るのやめてくれない?」
いやなんで逆にここまで構ってくるの?かまちょなのかな?
もうほとんどの人が部屋を出てしまって、仲裁人はいない。流石にここで黙り込むのはマズいと思い、勇気を出して、
「別に、調子は乗ってない。」
と言って、超スピードで廊下に出て走った。
「おい、待てよ!」など聞こえて来るが、無視無視。これでいいのだ!めんどいから。
廊下がすごく長い。というか、魔法か何か掛けられてるような変な感触がするんだよなあ、さっきから。
ってか俺、どこに向かってるんだ?道全然
そういえば客間の長机にお城の地図が貼ってあったが、俺は隅っこに座っていたため見れていない。くっそ、どうしたことか。
今さら戻るのはやつらがいそうで怖いので、探検がてら城内を散策してみる。
ちょっと歩いていると、さっき俺らが召喚された部屋の扉が見えてきた。
あまりにもでかい。流石は異世界ファンタジー、実用性とか考えていないのかな?
人が1人分入れそうなスペースが空いていたので、その部屋に入ってみる。ああ、さっき召喚された部屋まんまだ。
入ってみると、誰もいない。多分ここは、謁見室か何かなのだろう。
行き止まりか、と踵を返してドアを出ようとした時、
「あ、山崎殿ではないですか!山崎殿も、城内探索をしているのですか??」
と、まるでオタクのような低くイントネーションの狂った声で話しかけてきた人に出会った。
「お前は......影山だっけ?」
その後ろに、妙な薄笑いを浮かべているオタク兼陰キャの3人がいる。
「そうですとも!そして我は、この異世界で無双するために、最強アイテムを探しているのでございます!」
所々発音がおかしいが、こういうテンション高いオタクは嫌いじゃない。よくクラスでもゲームの話もする、良い奴だ。
しかし異世界に転生したことにより、激昂を抑えられていないようだ。
「というか、あなたのスキル【鑑定】って、いかにも地味そうですよねwでも我のスキルも【
「そうそう!異世界ハーレム展開でしょ!」
「違いますぞ!追放されてそこからなりあがる系の......」
「異世界といえば異種族!俺の性癖は...」
「異種族それ!あと令嬢がetc......」
何だか後ろの3人も混じって、常人には理解し難い会話を始めている。しかし俺も内容が分かってしまうのだ。
「まあそんな話は後でするとして、影山、俺の個室ってどこにあるんだ?知ってたりする?」
「ああ!1階下の4階に、31人分ありますよ!部屋もすごく広くて、正に異世界って感じなんですよwもうほんと、転生したのが信じられないくらいで、たとえスキルが無能でも......」
「おうありがと!俺は寝たいからじゃあな!」
まだ議論は白熱しそうだった。俺は廊下の中間くらいにある、横幅のなっがい階段を駆け下りて、自分の部屋に向かった。
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