推しとの遭遇
「キミがブラストを凍らせたんだっけ?」
突然教室に入り込んだかと思えば、彼女はその整った顔を一気に近づけた。
仄かに香る匂いは甘く、薄い茶髪の跳ねたショートカットが太陽光を反射させていた。
彼女の名は
俺が生前一番推していたキャラである。
そんな彼女がガチ恋距離にまで顔を近づけているのだ。
正直夢でも見ているのかと錯覚する。
正直目を合わせているのもやっと。
「ええと……まあ、はい。」
多分顔真っ赤だろうな……。
そんなことを考えていると彼女は不審そうな顔をした。
「どうしたの? 顔赤いよ」
やっぱそうか……! やばい、鼓動もだんだん速くなってきた。挙動不審一歩手前だ。
「え、いや」
俺が返事を返そうとした瞬間、彼女は突然額を俺の額に押し付けてきた。
「びゃ」
「うーん、熱はないみたい。」
「あ、そ、そうですか、ありが、とうございます。」
生前の推しキャラに突然こんなサービス(?)を受けられるとはおもっていなかった。
もうやばい。挙動不審だろうな、俺。
「あはは! 噛み噛みじゃん!」
「まあ、ちょっと顔見せに来ただけだから、帰るね!じゃ!」
そう言って彼女は嵐のように消えた。
「何だったんだ……」
———
げっそりとした顔でゾロゾロと教室に人が戻ってきた。
「大丈夫か……? 東雲」
「大丈夫なわけないだろう。死ぬほど痛かったんだぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます