㐧六話 突撃
俺たちの担任は
オレンジの髪を結んだポニーテールのような髪型をしており、異獣ハンターを兼任しているだけあってかなり体つきも大きく、180cmと女性にしてはかなり大柄だ。
同時にスタイルもモデル級で、出るとこも出ている。
「これからお前たちの担任になる道永だ。よろしく頼む。」
「よろしくお願いします!」
俺たちは途中参加ともいうべき存在。正直、前世のコミュ力で馴染めるのだろうか……?
いや、クヨクヨしてもしょうがない。気合を入れていかなければ———。
———
訓練校生活一日目が終了した。
訓練生は学園寮に入寮することになっているので授業が終わればそのまま寮に帰ることになる。
部活をしている生徒もいるが——俺には興味がない。
寮の一人部屋で“絶対零度”の調整訓練をしていた方が良い。
そう思って、まずはコップ一杯の水を凍らせようとしたが……。
「はあああっ!」
部屋にテーブルの凍る音が響き渡った。真力が暴走したのだ。本編だとある程度は制御できるまでのレベルに達していたというのに。
これじゃあ戦闘時敵味方問わず凍らせかねないだろう。
まあ、今の時点で真力が使える事がおかしいのだが。
「……やっぱり調整は難しいな。」
長い時間をかけ温めた水でキンキンに凍ったテーブルを解凍していると、インターホンの音が鳴った。
「なんだ……東雲か?」
ドアを開けるとそこには東雲ではない男が立っていた。
「君がブラスト凍らせた人? ちょっと話聞かせてよ。」
「……どちら様でしょうか。」
嘘偽りしかない台詞を吐きながら目の前の男の意向を考える。
彼の名は
黒髪の超身長のイケメンで、女性ファンも多いキャラクター。
本編では東雲の師匠として彼を鍛え上げていたが……。
「ふ〜ん。部屋こんな感じなんだ。」
「あっ、ちょっと!」
自己紹介もせずいきなり人の部屋に入るようなデリカシーのないキャラクターでもある。
「せめて名前だけでも教えてください!?」
「櫻井司ー。」
「ちょっと!冷蔵庫開けないでくださいよ!?」
こんな奇特な行動が許されるのも凄まじい実力を持つからだ。
「いいテーブルしてるね〜。凍った感じがかっこいい。」
「マジで凍ってるだけですから!」
———
「……ほうほう。つーことはマジに無我夢中で解放させちゃった訳だ。」
半分凍ったテーブルを挟んで、俺は櫻井にブラスト凍結について説明した。
「つまり、俺と同じってことか。」
テキトーな相打ちを打ちながら緩く話を聞いていた櫻井の表情が一変した。
彼の能力は念力。念じるだけで物体に引力や斥力、またはその両方を加えることができる。
彼の生い立ちは凄惨だった。
12歳までは普通の家庭に暮らしていたが、ある日擬態型の異獣が侵入。
自宅にいた父と母と妹を虐殺し、櫻井本人も重傷を負うと同時に能力を覚醒。
擬態型異獣、「ミメイゼ」をその場で殺害。レギオンの前身である組織、
アグレスに保護。対異獣生体兵器として強制的に異獣と戦った、原初の異獣ハンターの一人である。
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