㐧二話 分岐点
異獣があると同時に、人間には
このゲームを進めていく上で重要なのは能力と真力と言っても過言では無い。
俺、
もちろん、応用が効く自由な能力ではあるが……ゲームが後半に進むにつれヒロインや主人公の能力のインフレーションのついていけず、前述した通り闇堕ちしてしまうのだ。
ゲームでは四人ほどのパーティを組み合わせ異獣と戦っていくが、やはり、俺は後半にはパーティから外されがちのキャラだ。
ひとまずは……基礎能力、腕力や俊敏さを鍛えるしかない。そして同時に絶対零度を一通り使いこなす。同時に……
「おい将徒、お前騒いだりいきなり落ち着いたりホントどうしたんだよ!」
「ああ、うん。わりぃ、暑さで頭回らなくてさ……」
対人関係も重要だ。こいつが闇堕ちしたのは主人公がヒロインと絡む時間が増え、相対的に孤独に陥ったのも理由の一つだ。
万に一つだが——孤独は人を狂わせる。末路を知っている俺でもおかしくなる可能性がある。
他のキャラと絡んでシナリオに影響を与える“布石”を打っておくのも必要だ。
だからこの目の前の主人公とも仲良くしていかなければならないのだ。
そして———俺も、主人公と肩を並べるだけの実力を、これから持つ。
鍛錬もそうだが、このゲームには強化アイテムが存在する。
レベルの上限や、体力や能力値を上げることができるのだ。
俺含め大抵のプレイヤーは主人公かヒロインに使うが、そこを俺に使いまくって強化を図る——もちろん、アイテム程度じゃあの
「あー! 燈摩、将徒! 一緒に学食食べに行くわよ!」
後ろから俺たちを呼ぶアニメ声に、俺は聞き覚えがあった。
制服からでもわかる豊満な胸と安産型なヒップで人気のキャラ。
学園にファンクラブができるほどの美貌を誇るキャラである。
もちろん、彼女も東雲と結ばれるのだが……まあ、今は関係ない。
余談だが、俺は彼女にセクハラまがいの言動をかまして鉄拳制裁を喰らう役割だ。本当に関係ない。
彼女の能力は真力を利用した超越的身体能力。武器を使わず肉体に真力を込めるため、真力を極限まで高めるための露出度の高い衣装を纏い戦う。
「悠亜、聞いてくれ。将徒がおかしい。」
「将徒がおかしいのはいつものことでしょ! ささ、焼きそばパン売り切れるから早く行くわよ!」
「いやそういうおかしさじゃ……痛い痛い! やめろ引っ張るな腕を!」
異獣がいないときは俺と東雲と悠亜の三人で、こうやってわちゃわちゃしているのだが……。
「おい。廊下を走るな。人にぶつかったら危ないだろう!」
たまにそれ以外の人間が来ることもある。彼女の名は
跳ねたショートカットに鋭い目つき、そして威厳のある態度であり、比例して作中一の胸の大きさを誇るキャラ。一応ボーイッシュな奴だが……胸は隠しきれない。
まあ、こんなふうにヒロインがやってくるゲームなのだ。
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