4話
男の言った意味が理解できなかった。
「助けるってなんですか!もう彼女は死んでるんですよ!」
そんなSFチックなこと誰が信じるものか。
「正確に言うと、過去でありませんが。話を聞きますか?」
この男の話など、どうでもよかったが、彼女を助けると言う言葉に俺は乗っかってみることにした。
「話してください。」
「わかりました。簡単に話します。我々は独自の開発で、この地球と全く同じ小さな地球を作り上げることに成功しました。」
「はい?」
何を言っているんだ。この男は宗教かなんかか?
「この小さな地球では、外部から時間を操ることが可能で、例えば紀元前数億年前の地球や、数千年前の日本など、歴史の解明に繋がることもでします。また、今後未来で何が起こるのか予見することも可能です。」
小さな地球だかなんだかで、そんなことができるのか?
「それは、凄いな」
「現段階では我々がいるこの世界から、小さな地球へ人を送り込み、時間を操ることができるのか実験中です」
「つまり、何が言いたい?」
「貴方が実験に参加していただけたら、この小さな地球で彼女を助けることができます。我々は小さな地球で人間を送り込む実験ができます。どちらにも利益があると考えて提案させていただきました。」
なるほど、実験はかなり危険だからこうやって過去に戻りたい人に手伝わせているのだろう。
俺は考えたがすぐに答えは決まった。
「わかりました。やります。」
どうせ、死のうと思っていたから危険であることは関係なかった。
彼女が何故死んだのか。また、何故笑顔だったのか。その謎が知りたかった。
俺はその後、男に案内され、研究所とやらに来ていた。そこでは、たくさんの研究員が仕事をしていた。
「貴方にこれを預けます」
それは、時計のようなものでなにかボタンがついている。
「これはなんですか?」
「これを腕に巻いてください。ボタンを押すと三分前に戻ることができます」
つまり、もし俺が彼女を助け損ねたら三分前に戻り、再度助ければいいということか。
「わかりました。時間を戻したいと思ったら、押していいんですよね?」
「はい、そのとおりです。ただ、一つ条件があります」
「条件?」
「それは五回までしか使用できません。使用には注意してください」
五回までしか過去に戻れないらしい。いや、一度戻れるだけでも十分すぎる。
「実験対象にならないかもしれませんが、一度使わず彼女を助けるかもしれませんよ」
「勿論それでも構いません」
どこかこの男の余裕にきみの悪さを感じた。
そして俺は小さな地球にて、彼女が死ぬ数分前に転移した。
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