第7話:惣流も綾波もきれいで可愛い、なんならアーニャだって可憐でキュートな訳で・・

人の美しさ、について語りたい。精神論的な話ではない。肢体・容貌の綺麗さ、可愛らしさについての話だ。


まずは肉体的な性能、という切り口から語りたい。実はこれは、よくあるアプローチで、特に珍しくは無い。


肉体的な性能が高い、ということを示す外見的な特徴そのものが、見る者に「美しさ」を感じさせる、という考え方。もちろん、私はこの考え方に賛成だ。このことは前話でもしつこく述べた。


細いウェストは、代謝の良さと運動能力の高さ、


逆にお尻や太ももの肉付きの豊かさには、消化・吸収能力の高さ、


長い手脚、そしてすらっとした体躯には、運動能力の高さ、体格上の有利さ、


きらきら光る眼やくるくると変わる表情には、頭脳の性能の高さ、


そしてシミひとつ無い美しい肌には、その個体が健康であることが、


——— 顕れる。


健康で、運動能力が高くて、頭脳が良い、そういう遺伝子を持って生まれ付いている個体が、結果的に美しく見える、という話だ。ダーウィニズム的な、有りがちな理論。


うん、説得力ある。美しさ、に対する考察をここで止めても一向に差し支えないだろう。優生学的な理論、生存適者は、美しいのだ。わははは・・


しかし、私は更に考える。本当にそうか? 生存適者は、本当に美しいのか? 美しいのは、生存適者だけか?


美しさって、そんな自然数でサクッと割り切れるような、あっけらかんとした物だったっけ? そんな腰に手を当て肩幅に足を拡げ「適者生存! 優生学に則り美しい子供を産もう!」みたいなノリで威張って語れる物だっけ?


美しさって、もっと、恥ずかしい物なんじゃなかったろうか?


優れた生存能力・優生条件、イコール、美しさ、とするなら、考えるのを止めなければ、すぐに次の要素に思い至る筈だ。曰く、———


骨格は? 骨格の問題は?


いや笑わないで貰いたいマジで、だってそうだろう?


適者生存、厳しい自然界。そこで十全に生き抜くべき、健康さ、運動能力、身体性能・・・例えば、


———例えば朝青龍とか、


めちゃくちゃ健康そうだし闘争心もズバ抜けてあるし運動能力なんかもう言うに及ばす、だ。


———例えば白鵬なんか、


肌も白くて綺麗だし、ぱっちりと開いたキラキラ光る眼をしてる。潤いを含むその肌は、途轍もなく健康な証拠だし、頭脳だって、きっとめちゃくちゃ優秀なのに違いない。


ずんぐりムックリした、いかついガタイの堅太りな体型は、この残酷な世界を跋扈し、生存競争を勝ち抜くのに適していると思う。


例えば、手脚が長いのは生存競争に適するかも知れない。だがしかし、よく美女の条件として挙げられる「華奢な身体つき」は、弱肉強食の原理に逆行している。


筋肉は、動力性能上、身体強度上、あればあるほど有利で、その筋肉が付きやすいのはやはり、がっちりした骨格の堅太りの体型なのだ。骨そのものも、細いより太い方がいい。


どういうことだろう? 生存適者は、必ずしも美しくない。美しさは、必ずしも優生条件と合致しない。


何もそんな理詰めに考え込むこと無いっしょ! 何事にも「遊び」や「揺らぎ」は憑きモノだし・・・弱肉強食の原理には反するけど、惣流も綾波もきれいで可愛い、なんならアーニャだって可憐でキュートな訳で、美しさや可愛いらしさに理由なんてない。美に根拠を求めるなんてナンセンスだし野暮にも程がある。


芸術家はそれでいいかも知れない。しかし文筆の徒、物書きの端くれたる私は、そういう訳には行かない。


さて、もう1400字になった。続きは次話に譲りたい。まず何から述べるべきか?


可愛い、綺麗、の定義か?

それとも、

優美な女性に惹かれる理由か?


美しいから、じゃない。理由なんて無い、なんてそんな訳ない。


可愛い、綺麗、には経験に裏打ちされたモデルがあって、異性に、生殖行為の対象者に、その「可愛い・綺麗」を求めるのには、生死を分ける程の、切実な理由があるのだ。


















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