第1話 ほわいとラムネとリスタート
なんで私はこんなについていないんだろう.....
新学期早々嫌いな人と隣になるなんて。
なのに親友の
今日は進級してから最初の登校日。
新しく私たちのクラスの担任になった先生は早々にくじ引きによる席替えを始めた。
よりによってこの席は1学期中そのままらしい。
嘆きながら学校からの帰り道、いつものように土手を歩いていると、こんな歌が聞こえてきた。
『ラムネ、ラムネ。魔法のラムネ。お作りします、貴方にね。
買いくる人のためになぁれ。
早く帰って甘いお菓子でも食べよう。
そう思って少し足早に土手を歩いていると、
そこの制服の子ちょっと待ってー!
という声がした。
私では無いはずと思ったが、周りをみまわすと幸運にも不運にも土手を歩いている人で制服の人は私以外見当たらず、後ろから聞こえてくる人の足音以外の音も気になり、振り向いてみると、
"
黒猫ではなくウサギを連れている若い魔女っぽい人がこの街にいるという噂は聞いたことがあるが、周りで見たという人は聞いたことがなく迷信だと思っていた私は存在していたことに驚きを隠せずにいた。
それに、こんな
すると、その
『大丈夫?』
と声をかけてきた。なぜかと聞き返そうとしたところ
『私は魔法のラムネ屋。
なんで名前を知っているのか不思議に思ったが、この言葉を言い残し、私が疑問を聞く暇もなく 小さな小瓶に入った白いラムネを残してどこかへ行ってしまった。
小瓶の裏には
“ほわいとラムネ 1個につき1粒 食べ合わせ可
どうなってほしいか願いながらゆっくり食べること
上手に使えば関係を変化させられる 使い過ぎには要注意”
とだけ書いてあった。
関係を変化.....
関係を変えたくはないはずなのに、好きなあの子と隣なのは変えてしまいたいけれど関係ではないような..と考えてしまった。
いっそのこと好きな人との関係を変えよう。そう思いラムネを食べようとした時だった。
誰かが喋りながらこちらへ歩いてくる音がして振り向くと、私が好きなあの子がクラス委員の女の子と2人で歩いてきていた。
仲良く歩いている姿を2人はとてもお似合い。私は諦めよう。このためにラムネを食べようと考えていると、クラス委員の子が小さな声で『がんばれ』と言っていた。
なんのことだろう。
そう考えているとクラス委員の子はすたすたと歩いて行ってしまった。
すると好きなあの子は突然赤面しつつ私に告白をしてきた。
何かのドッキリか とも思ったが真剣に告白してきた好きな人が素敵でもっと好きになり、同じ気持ちでいたのも嬉しくてOKした。
それにさっきまで散々悩んでいた席替えのことなんてどこかへいってしまっていた。
気になったので聞いてみるとクラス委員の子とは家が近く、生まれた頃から一緒にいた姉弟のような関係らしい。
私に今日告白できるようになったのはラムネのおかげとも言っていた。
え.. もしや... と考えていたところ、私がさっきもらったものと同じ、小さな小瓶を見せてくれた。
中身は紅色。
小瓶の裏の注意書きは読ませてくれなかったが、
“食べ合わせによっては幸....”
という文字は見えてしまった。
私のほわいとラムネと食べ合わせることができるかな、食べ合わせるとどうなるんだろう...
そう思ってラムネを見比べていると私の持っている小瓶の中にはラムネに紛れて小さな紙が折りたたまれて入っていることに気がついた。
小瓶の蓋になっているコルクを慎重に引き抜き、ラムネを落とさないように気をつけながら紙を出して広げてみると紙には
“ほわいとラムネ 調合りすと”
とあり、紅色は.. と探しながら読み進めると
ほわいと×紅色 苺の花
とだけ書かれていた。苺の花..... 隠語かなと考えていると花言葉じゃないかなと言ってきた。
調べてみると苺の花言葉は 幸せな家庭。
2つのラムネの力で幸せな家庭になるということらしい。
今の私たちは今は一つの家庭ではないし、将来一緒になるかどうかも分からないのでよく話した結果今は使わないことにした。
私たちが結婚などできるようになるのはあと1年弱。
それまでお互いがお互いを好きでいたら使うということも決めた。
2つの小瓶のラムネはラムネの役割をまだしていないが、2人にとっては自分たちを結んでくれた幸運のお守りのようなものにまでなった。
(.......7年後、2人のラムネの代金は使いきれないほどの色とりどりのラムネ粉を
『あの2人は結ばれる運命があったのにね
新しい色のラムネ粉ができるかな』
土手で
魔法ラムネ屋のラムネの代金はラムネの粉。
何色かはそれを受け取った人の行動で決まってしまう。
あなたが受け取ったあとは何色になるかな。
魔法ラムネ屋 _Lily-Ju_ @_Lily-Ju_
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