第4話 これからもきっと
僕の家とプリンスの家は直ぐ近くだった。僕が引っ越してくることになったとき、丁度近所に建て替えられたばかりの空き家があったためだ。
そんな事情もあって、プリンスはうちに顔をだすこともしばしばあった。
プリンスを自室にあげるのも初めてではない。なのに、今日は異様に緊張する。
今回はプリンスの纏う空気が普段と違っていた。
部屋に着くと、プリンスは鞄を置いて僕と二人で座布団に座る。
「……その……」
彼女は自分から僕の家に来ると提案したものの、どう切り出すか悩んでいるようだった。
時間はたっぷりあるのだし、気長に待とう。
そんな態度の僕を見て、プリンスはようやく話をはじめられた。
「今日のボクは、プリンセスを困らせてばかりだ……」
苦笑と自嘲の混交された表情は、どこか痛々しく見える。僕がすぐ隣に座っているのに素直に寄りかかれないのは、プリンスに「王子様」としての自覚があるからだろう。
僕は微かに両手を広げて抱きとめるような意思を示す。
「…………っ」
プリンスの表情が少しだけ動いた。彼女は何も言わずに僕を抱きしめると、朱色に染まった耳に「ふっ」と息をかける。昼に甘噛みされた耳が、またしてもじんわりとした熱を帯びる。子猫ちゃんへの軽い嫉妬や缶ジュースの間接キスで忘れていたもどかしい微熱が僕の胸から全身に広がるのがわかった。
「困らせてごめんね。でも、ボクがこんな風に甘えられるのはプリンセスしかいないんだ……」
ずるい言い方だ。けれども、どこか嬉しいと思う。プリンスが僕の耳に何かをするのは、甘えたいという欲求や愛情表現なのかもしれない。
プリンスは昼にしたように僕の耳元で囁く。
「肩の力……抜いて……」
言われるがままに身体の力を抜く。不思議なことに、脱力すると余計に耳の感度が鋭敏になったような気がした。
「プリンセス、耳綺麗だね。頻繁に耳掃除とかしてるの?」
僕はただ頷くことしかできない。
「そうなんだ。いつかボクがしてあげたいなって思ってたんだけど。それなら、今度ボクの耳掃除もしてもらおうかな……」
プリンスは悪戯っ子のような声色になる。耳掃除。してあげたいし、してほしい。
「どっちでも良いなら、今はボクがしてあげるよ。ううん、させてほしいんだ」
プリンスは僕を抱き締めたまま自分の方へと引っ張る。急な動作に追いつけず、僕はプリンスの太ももの上に頭を乗せる形で倒れ込んだ。
「えーと、綿棒はと……」
プリンスは自分の鞄から個別に包装された綿棒を取り出した。身だしなみや塗り薬の塗布にも使える細いタイプだ。
「力、抜いたままでいてね。実を言うと弟たちにしてあげたくらいで、あんまり他人の耳掃除とかしたことないんだ」
そうだろうね。王子様として振る舞うときも、プリンスは他人にほとんど触れない。潔癖というわけではなくて、彼女にとって身体の接触がハードルの高い、或いは特に親しい限られた関係の間柄でしかしない行為として位置づけられているのだろう。反面、触れる相手にはとことん触れるのだと、プリンスの妹と母親に教わったことがある。それでも、耳を甘噛みされたりするのは初めてだった。
「それじゃあ、始めるよ」
プリンスの指先が僕の耳に触れる。静かに耳の穴に入った綿棒は、僕の内側を探るように擦り出した。
「本当に汚れがない……これじゃあ耳掃除をするありがたみがないね」
僕の耳を掃除することにどんなありがたみがあるのか。いや、してもらうことを言ってるのなら有難いのだけれど。
「掃除というより、マッサージのつもりでやろうか」
その言葉どおり、彼女の手つきは心地よい。穏やかな心境の奥で、ある思考が芽生えた。僕は、プリンスとこんな行為をするほどの関係でいて良いのだろうかと。
彼女の性格を考慮すれば、今の状態は奇跡に等しいのかもしれない。現状を享受できるほどに僕はできた人間なのだろうか。
「また考え事?」
僕は彼女の相手にふさわしいのだろうか。そんな人間ではないと思う。だって僕は、プリンスとの約束を果たせなかったのだから。それどころか、約束を守るための努力もしていなかった。
「ちょっと休憩。プリンセス、ボクの脚痺れちゃったよ」
プリンスの目に、今の僕はどう映っているのだろうか。この一年間、どう映っていたのだろうか。
「聞いてるの? ねえってば…………ふうぅっ」
突如、僕の耳に勢いよく空気が流れ込んで来た。プリンスが息を吹きかけたのだ。
驚いた僕は彼女の太ももの上から転がり落ちる。
「大丈夫? そんなに驚くと思わなくて……あうっ」
僕を心配してくれるプリンスだが、彼女は脚が痺れて動けない。
僕はゆっくりと起き上がって、プリンスを見た。目が合ったプリンスは、きょとんとした表情のまま僕を見つめている。
「どうしたの? 不安なことでも思い出した?」
ここで嘘をつくのは簡単だ。でも誤魔化したら、僕はもうこの先プリンスに顔向けできない。
僕は携帯端末のメモ欄に今思い起こしたことを記す。
プリンスと約束したのにお姫様になれなかったこと、なる努力をしなかったこと。そして、それらから目を背けていたこと。
プリンスはじっくりと画面を見つめる。僕の文章をただ読むばかりでなく、反芻するかのように集中していた。彼女が画面から目を離したときに見せたのは、小匙一杯ほどの悲懐をコップ一杯の随喜に溶かしたような表情だった。
「約束、覚えててくれたんだね」
忘れたふりをしてたけどね。
「本当はボクも少し不安だった……ボクがなんて言ったか覚えてる? 絵本の王子様になるって言ったんだよ。それなのに、今のボクはそんな理想とは程遠い」
プリンスは深い呼吸をして、自分の手元を見つめる。
「キミがボクのことを『プリンス』って呼んでくれるのは、ボクが周りの子たちに『王子』って呼ばれていることを意識してるんだと思ってたよ。ボクもキミも、再会したときは苗字で呼び合ってたからね。ボクの『プリンセス』って呼び方を受け入れてくれてるのも、『プリンス』って呼び方に合わせてくれてるんだと思ってた」
僕の方へと視線を動かしたプリンス。彼女の瞳は水気を湛えた光を見せる。
「ボクは、キミに『プリンス』って呼んで貰えるような王子様になれたかな?」
ちゃんと優しい王子様だと思うよ。
「そうだね。キミが言ってくれるならそうなんだと思う。でも、ボクはそれだけを目指したわけじゃないんだ。子どもの頃一緒に読んだ絵本の内容は覚えてるかな?」
覚えてるよ。
「絵本の王子様は、お姫様を助けるために冒険するんだけど助けたら終わりというわけじゃない。お姫様を連れて国に戻るために、新たな冒険をするんだ。ボクは一人で何かを成し遂げるんじゃなくて、プリンセスといつまでも冒険をしたかった」
そういえば、遊ぶときはいつも冒険みたいにしてたね。お姫様と王子様のラブロマンスばかりじゃなくて、ファンタジー映画のアクションシーンみたいな内容も多かった気がする。
「キミが引っ越す前の日にした約束……ボクが王子様になってキミがお姫様になれば、今度こそいつまでも二人で冒険できると思った……だからあんなことを言ったんだよ」
子どもらしい妄想でしょって、プリンスは苦笑した。
プリンスは自分を悪く言っているけど、努力しなかった僕と違って遥かに王子様に近づいているはず。
僕はちゃんと、プリンスに向き合わなければならない。端末の画面に文字を入力してプリンスに見せた。
「え? 『お姫様になれなくてごめんね』? 『僕は絵本のお姫様にはなれなかったけど、まだチャンスをくれるのなら僕をプリンスのお姫様にしてほしい』って……」
プリンスの瞳が揺れる。今にも涙を零しそうだ。
「そんなこと……本当はボクがお願いすることなのに……」
声も弱々しい。次の言葉が出てこないのか、彼女は歯切れが悪かった。
僕の知らない間にプリンスがどんな風に過ごして、どんな変化をしたのかなんてわからない。でも、例えどれだけ彼女が変わっていたのだとしても、ここまで来てプリンスをこのまま放置することが正しいなんて絶対に思わない。
「プリンセス……?」
僕はプリンスに向かって右手を差し出す。プリンスは両手で包むようにしてゆっくりと僕の右手を握った。
手が触れた瞬間、プリンスは少しだけ笑う。それは自嘲とか苦笑じゃなくて、子どもの頃と同じ無邪気な笑顔だった。
「ふふ……ありがとうプリンセス。絵本のお姫様も舞踏会で王子様を誘うときに、こうして手を差し出してくれたんだよね」
彼女の体温がお互いの手を通じてじんわりと伝わる。
「ボクったら両手で掴んじゃったよ。手に触れてから、『王子様』みたいに手を取ればよかったって気がついたんだ」
プリンスは僕の手を自分の方へと引き寄せる。解像度の高くなった彼女の顔は、さっきよりも一段と美しく見えた。
「プリンセス。もう一度ボクの、ボクだけのお姫様になってよ。ボクはもう一度、二人でやり直したい。絵本の王子様とお姫様みたいに、これからもずっと二人でいたいんだ」
僕は迷わず頷く。プリンスの手を左手で包み、僕も自分から顔を寄せた。
「ボク、ようやくわかった……ううん、素直になれたんだ。ボクはプリンセスと一緒にいたい。冒険だけをしたいんじゃなくて、これからも二人で過ごしたいんだ」
彼女が絵本の王子様を目指したのは二人で冒険を続けたいからだった。でも、その根底にあるのは僕と一緒にいたいと思っていてくれた心。あくまで幼少期のプリンスにとっての一緒にいる姿のイメージが『冒険する王子様とお姫様』だっただけで、本当はもっと単純な願望だったのだ。そして、僕も同じ気持ちだ。プリンスと一緒にいたい。
「プリンセス……」
僕たちの目線が再び交わる。プリンスは僕の変化に気がついたようだった。今の僕はきっと、恋する乙女のような顔色になっているだろう。
僕の顔を見たプリンスの唇が、真一文字に結ばれる。
「いくよ……」
プリンスの力んだ唇が徐々に解け、僕たちの顔は相対的に距離を縮める。
あと数秒で僕たちの唇は触れ合うだろう。
鼻孔をくすぐる甘い香りに気を許した瞬間、部屋のドアがノックされた。
「ひゃっ!?」
驚くあまり可愛らしい悲鳴をあげたプリンス。彼女は咄嗟に逃げようとしたのか隠れようとしたのか、僕の手を掴んだまま勢いよく動いた。
その結果プリンスは僕を押し倒すような恰好で転倒する。
「あぅ」
僕の頭のすぐ横にプリンスの頭が来るほど密着した状態。
そして、仰向けになった僕が視線をドアの方に向けると、お菓子と飲み物を持った母と目が合った。
母の視線の先には手を繋いだまま床で抱き合う息子と幼馴染。
僕が何かをする前に、プリンスががばっと頭を起こして母の方を向く。
「お、おば様っ、これは……その……っ」
動揺が隠せないプリンス。母は無言のまま飲食物を部屋のテーブルに置くと、すぐさま部屋を出ようとした。
「待っておば様っ! ええっ!? 『そこまで進んでたのね』って、その、まだそんなに……『孫の顔が見れるのを楽しみにしてる』? ちょ、ちょっとホントに待って……ああ……」
プリンスの必死の弁明も虚しく無慈悲に閉められるドア。確かに手を繋いだまま言っても信じてくれないよね。
気まずい空気にはしたくないので、僕は寝転がったまま端末を掴んでプリンスに話を振る。
「うん? あとでプリンセスの方から説明してくれるの? ありがとう……でも、ちょっとそれは難しいかも……」
難しいとはどういうことなのか。僕は説明を求める。
「そのね……ボクはプリンセスと再会してから、思うことがあってさ。ボクたちってせっかく再会できたのに、このまま何も起こらずに高校生活を終えちゃうんじゃないかって。それで、そんな風に過ごしたらまた離ればなれになるんじゃないかって……」
僕は少しだけ力を入れてプリンスの手を握り返す。
「ボクは不安だったんだよ。それを弟と妹に相談したら、『姉ちゃんがアプローチしてプリンセスを鷲掴みにするしかない』って言われて、とりあえず、キミのこと知ろうと思っておば様に少しだけ話をしてみたら、ボクの考えてること全部見破られてね」
僕たちが幼馴染だったこともあって、再会した今でも僕たちは家族ぐるみで仲が良い。僕だって去年のプリンスの誕生日プレゼントは彼女の妹と弟からリサーチしたのだ。僕が一人っ子である以上、母に話を聞くのも不思議なことじゃないだろう。
「おば様ったら、少し、少しだけ気が早くて……キミにアプローチするならこれでもかってくらい過剰にやらないと、キミは鈍くて気がつかないって……それでお昼に食べさせあったりするくらいじゃないとダメだって言われたんだ」
まさかそのために母は彼女の好物ばかり僕の弁当に詰め込んでいたんじゃなかろうか。
「それをおば様は弟と妹に話して、お弁当の中身をお互いの好物にすれば自然と食べさせ合いっこできるって計画が出来上がってみたい」
母どころか弟くんたちまでグルだった。どうりで僕の好きな玉子焼きが頻繁に出てきたわけだ。
「ただ、プリンセスが思いの外順応してたみたいだから、おば様たちももっと強めのアプローチをするべきって言いだして……キミの耳を……その、口に、してみたんだけど…………どうだったかな?」
言いながらプリンスの頬は紅潮し、声にも艶が出てくる。
僕の汗ばんだ手を、プリンスはより強く握り締めた。
彼女はそれで何かのスイッチが入ったのか、僕の知らない輝きが目に灯る。
「おば様が来たときはびっくりしたけど、逆に言えば、これっておば様公認ってことだよね?」
プリンスは寝転がるようにして僕の上に戻って来る。頬を擦りながら僕の顔の真横へと小さな顔を落とし、耳元に熱い吐息をかけた。
「ねえ、教えてよプリンセス。ボクの唇は気持ちよかった?」
愛しい少女の囁き声が、僕の耳朶に残る。
その口調は悪戯っ子のようでいて、異様なほど艶美でもあった。
プリンスは自分だけに僕の心の内を見せてほしいとねだる。
幼少期のときもそうだった。二人だけの話をするとき、プリンスはよく僕の耳元で囁いていた。それは僕だけに許された特権であったし、彼女なりの甘え方でもあったのだと今はわかる。
「どんな風にされたか覚えてないなら、思い出させてあげる…………んむ……」
唇を微かに舐める音が聞こえた。そのあとすぐに甘く蕩けるような感触が僕の耳を包む。マシュマロで挟まれるように、僕の耳はプリンスの唇に優しく覆われたのだ。
「む、う……ふふ、素直に応えてくれるんだね。返事が手を繋いだままの抱擁だなんて、キミらしくて好きだ。本心としてうれしいよ」
抱擁したのは気が乗ってきたとか、感極まってとかそんな理由ではない。ましてや返事のつもりもない。プリンスの唇から発せられる全てが僕の理性を蕩けさせていて、抱き締めないとどうにかなってしまいそうだった。
プリンスの細い胴体から背中に手を回して抱き寄せると僕たちの間にあった隙間もなくなる。
「こんなに抱き締めてくれるなんて……ボクもずっとこうやって抱き合いたかったんだよ? 本当はボクからするつもりだったけど、プリンセスの方から抱いてくれたし、いっぱいお礼しなきゃね」
ずっと僕は仰向けの状態だけど、頭を動かせば耳を護ることはできる。それをしないのは、僕が心の奥でプリンスに触れてほしいって望んでるからだろう。
きっと僕は思考と理性を犠牲にしてでもプリンスの『お礼』がほしいのだ。
「また身体に力入ってる」
また耳に息を吹きかけられる。そう身構えた僕に訪れたのは、想像の上をいく快感だった。
「ん、れろ……」
耳に温かくて柔らかいものが触れた。彼女が舐めたのだ。唾液の水音の後に微熱を帯びた息が聞こえる。耳に付着した唾液に空気が触れる間もなく、プリンスは二度三度と耳に舌を這わせた。
「プリンセスの耳、すごく綺麗だ。耳の手入れもそうだけど、ボクは形も好きだしこうやって舐めるのも嫌にならないよ」
彼女の舌の動きに合わせて僕は呼吸と悶絶を繰り返す。
もしも声が出たなら、僕は何度も声を漏らしただろう。絶対にプリンス以外には聞かせられないような声を。
「んん……むう、今回はこれで終わりにしよっか?」
プリンスの言葉に残念がる自分がいる。
彼女は握り合った手を持ち上げて僕に見せた。
「プリンセスの手、カチカチだもん。ボクの手を離さないんじゃなくて、力んで離せなくなっちゃったんだよね? ボクが強引だったから……。わかるよ、ボクも無理矢理されたら怖いし辛いもん……。だからこれでお終い」
あっさりと耳元から顔を離したプリンスは上半身を起こすと、力んでしまった僕の手を優しく揉み解す。
徐々に脱力してプリンスから離れた手を彼女はそっと僕のお腹の上に置いてくれた。
「耳も拭かないとね」
鞄からウエットティッシュを取り出したプリンスは僕の耳を拭う。冷たく湿った繊維が僕の耳から唾液と熱を奪った。なんだかもったいないというか、寂しいような気持ちが湧いて来る。
身を任せて横たわっているとプリンスと目が合った。
「そんなに気に行ってくれたの?」
やっぱりお見通し。僕が答えに窮していると、プリンスは鞄から小さなケースを取り出した。
ケースが明けられると、中からワイヤレスタイプのイヤホンが現れる。彼女は左右セットの片方を摘むと、僕の耳を撫でるような手つきでイヤホンをはめる。
「直接触れるのはお終いって言ったけど、ボクはまだキミに話したいこと、伝えたいことがたくさんあるんだよ? だから今夜寝るときは、ボクにメッセージを送って」
僕は床に転がっていた端末を拾い上げて画面に短い言葉を記す。
「『眠るまで早いよ』? そうなのか。それなら、子守歌とでも思って聞いてほしい。目覚めても覚えていられるくらい、ボクも気持ちを込めて話すから」
プリンスは僕の端末に人差し指を当ててイヤホンとリンクさせる。そして、そのまま僕の唇に人差し指を当てた。
「これはおば様にも、ボクの妹たちにも内緒だよ? ボクたちだけの約束なんだから」
プリンスはもう片方のイヤホンをケースごと僕に手渡すと、「また夜に」と囁いて立ち上がる。
僕が引き留める間もなく彼女は部屋を出て行った。
プリンスがいなくなると曖昧で熱っぽいさっきまでの時間は夢のように思えてしまうが、耳にはめられたイヤホンが声だけの逢瀬を約束したのは事実だと教えてくれる。
僕は母に呼ばれるまでイヤホンをつけたまま過ごした。
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