二人はいつの間にかその手と手をぎゅっと(二人とも両方の手のひらを使って)握りしめあっていた。

 それから二人はふっと我にかえると、その向き合っている顔をお互いに真っ赤に色に染めながら、笑った。

「じゃあ、また来るね、つばさちゃん」

 そう言って、手を振りながら、ひかりちゃんはつばさの病室をあとにした。

「うん。またね、ひかりちゃん」

 つばさは小さく手を振りかえしながら、そう言って、そんなひかりちゃんのことを(ひかりちゃんの姿が見えなくなるまで)見続けていた。

 それから一人になったつばさは六年一組の教室のみんなの手紙を読み始めた。

 ひかりちゃんの元気いっぱいの手紙を読んで、教室のみんなの手紙を読んで、担任の島先生の手紙を読んで、それから最後に、つばさは高木つきくんの手紙を読んだ。

 その手紙にはつきくんの誰にも言っていない秘密にしている自分の夢のことが書かれていた。

 つきくんの夢は宇宙飛行士になることだった。

 宇宙飛行士になって、自分と同じ名前をしている場所に行くことがつきくんの夢だった。

 そのつきくんの手紙には宇宙船の手書きの絵が描かれていた。

 その手紙をつばさは自分の宝物にすることにした。

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