「どうしたの? ひかりちゃん」

 驚いて目を大きくしているつばさが言った。

 つばさが(思っていた以上に)驚いてくれたことが嬉しかったのか、とても満足そうな顔をしながらひかりちゃんは病室の中を移動して、つばさの横になっているベットの隣にある小さな丸い椅子に腰を下ろした。

「お見舞いに来たんだよ。つばさちゃんが寂しがっているんじゃないかと思ってね」

 ふふっと笑いながらひかりちゃんは言った。

 ひかりちゃんは果物の入った大きな籠を自分の太ももの上に乗せていた。

 籠の中に入っている果物はりんご、みかん、いちご、ぶどう、バナナだった。

「これ、みんなから」

 そう言ってひかりちゃんは肩に下げていた(お猿さんの絵が描いてあった)トートバックの中から紙の束を取り出した。

 それは六年一組の教室のみんなからつばさに書かれた手紙だった。(担任の島先生の手紙もあった)

「ありがとう」

 そう言ってつばさはひかりちゃんからみんなの手紙を受け取った。

 その瞬間、つばさは自然とその大きな黒い目からぽたぽたと大粒の涙を流し始めた。

 その涙を見て、ひかりちゃんはとても驚いていたのだけど、つばさはもっと驚いていた。

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