愛する君へ、この言葉を最後に君に残すね。

神石水亞宮類

第1話 愛する君へ、この言葉を最後に君に残すね。



・・・僕はもう長く生きられない。



ある日、突然一人暮らしの部屋で僕は意識をなくし倒れてしまった。

それから、どれぐらい時間が経ったのだろう? 

外はもう暗くなっていて僕は、奇跡的に意識を取り戻した。

次の日、僕は会社を休み病院で診てもらう事にした。

僕は病院の医師に昨日の事を説明すると? MRI検査をすすめられる。

僕は医師の言う通りにMRI検査を受けた。

結果は1週間後らしいので、その間は家で安静しているように言われる。

僕は会社の上司に直接電話で病気の事を説明し、この1週間は“有給”

扱いにしてもらう事にした。

僕の会社の上司も、凄くイイ人で僕の話をちゃんと理解してくれた。




でも? 彼女にはどう説明したらいいのか?

急に僕が一人で家に居る時に倒れて意識をなくした事を説明できないでいた。

彼女に心配をかけたくない!

僕の彼女は、物凄く優しいから仕事を休んででも僕の看病に家に来るだろう。

だけど? 彼女は個人経営者で、会社の社長だ!

そんな事はさせられない。

だから僕は、彼女には“コロナに感染したから1週間は会えない”と彼女の

携帯にLINEで送った。

彼女も案の定、僕の事を物凄く心配していた。

最低でも1週間は、会えないと僕から彼女に伝えると。

彼女はどうにか? 僕と会えないかと考えていてくれたみたいだ。





・・・そして1週間後。

僕は結果を聞きに、病院に向かった。

そこで医師に衝撃的な事を聞かされる。



『佐藤さん、』

『・・・は、はい、』

『よく聞いてくださいね、貴方の病名は【癌】です。しかも、脳にある癌です。』

『えぇ!?』

『直ぐにでも、手術をしたいところなのですが場所が場所で手術は不可能です。』

『・・・そ、そんな、先生! どうにかならないんですか?』

『今の医学では、、、すみません、』

『・・・治らないって事なんですね、じゃあ、あとどれだけ僕は生きられるん

ですか?』

『長くて3ヶ月、いや? もっと早いかもしれません。進行が早く進んでいま

すから、症状を遅らせる薬はありますよ。』

『でも? “長くて3ヶ月なんですよね。”』

『・・・あぁ、はい、』

『それなら、もう治療はいいいです。』

『でも? 治療しなければ、もっと早く癌が進行するかもしれませんよ!』

『それでも、僕は治療はしません!』

『・・・わ、分かりました、でも? もし治療を受けたくなったら直ぐに私に

連絡してください!』

『分かりました、ありがとうございます。』





僕は治療は一切受けないと医師に告げる。

例え、寿命が短くなっても治療はしない!

どうせ、長く生きられないのなら? 治療などしたくない!

自由な時間を奪われ、楽しい時間もなくなる。

僕は僕のまま死ぬ事を決めた!





・・・だけど? 愛する彼女とはもう一緒にはいられない!

彼女には、仕事の関係で1年間転勤になったと伝えた。

必ず戻ってくるから、その間は“遠距離恋愛”をしてくれるように頼んだ。

いつ倒れて死ぬか分からない僕と彼女が一緒にはいられない!

彼女には僕の男友達を紹介した。

何かあった時は、彼を頼ってほしいと言ってね。

それと、彼女と最後になると思った日に僕は彼女にこう言った。



『どんな時でも僕は君を愛している。』



彼女も照れながら、【うん】と頷いてくれた。

それが彼女との最後だった。

僕は転勤先も適当に彼女に伝えて、連絡が取れないようにした。

彼女は相当、僕を心配したに違いないけどこれでいい!

彼女には、“僕が紹介した彼がいる!”

後は彼に任せることにした。

僕は一人、治療もせずぼろアパートを借りて何もない4畳半の部屋で

今生活している。

誰にも見つからないようにひっそりとね。

ただ、僕は余命3ヶ月を過ぎても未だ生きているのだがどうしてなんだ?

【僕の癌】は、治っているのか?

それでも僕は、彼女とはもう会わない! それが彼女の為だから。

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愛する君へ、この言葉を最後に君に残すね。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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