第17話 重要キャラ

 俺以外の人間には、シルバの姿が見えていなかったらしい。


 何が起きたのか、俺なりの推論は立ててみたが、超理論というか飛躍した推測しか出来ない。


 だからこれは、俺の妄想で世迷い言、ということにしておく。


 生死に直結する力を持つという、未来の『テセウスの乗船者達』はいつの時代から存在するのか。


 何故、ユウは生まれ変わったのか。


 何故――シルバは生まれ変わったのか。


 ただシルバと同じ芸を持つ野鳥、というだけでそう考えるなんて、逸脱した妄想と思われても仕方ない。


 でも、あれは、絶対にシルバなのだ。


 シルバを弔った時、俺は確かに『何か』に触れて『何か』の声を聞いた。


 俺が無かったことにしていただけだ。


 ついさっきも俺は、シルバの移ろう魂にこの手で触れていた。


 何故、生命が『俺の前で』生まれ変わるのか。 


 生まれ変わること。


 それ自体が、一つの力の現れなのだとしたら?

 

 死を癒す力。


 見ただけで人を殺す力。


『希望を持って死んだ者を、未来に生まれ変わらせる力』。


 能力の始まりは、ここにあるこの力なのではないのか。


 勿論妄想だ。


 妄想、だが。


 シルバを、自分の近くに生まれ変わらせたい、と願う者がいるとしたら。


 ユウを、未来に生まれ変わらせる者がいるとしたら。


 全てを信じた上で、それをする者がいるのなら。


 そんなことをする人間が、自分の他にいるとは考えられない。


 灯台もと暗しも、いい所だ。


 フラグを立てる、と意気込んで遊んでいた俺自身が、でかいフラグそのものだったとは。


 歴史上、もしかすると初の『テセウスの乗船者』。


 重要キャラすぎるだろ、俺。

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