お客様二人目 家野真理 その後
帰宅後、ママは心配のあまり涙で顔がくしゃくしゃだったけど、私はおかまいなしに部屋に戻って倒れるように眠った。
眠って眠って、ほぼ二日死んだように眠っていたと思う。
ママはまた死ぬほど心配して、私に話しかけたりおやつを食べさせようとしたり必死だったみたいだけど正直何も覚えていない。
それから早いものであの公園での出来事の後、1か月が経った。
状況が変わることはなく、学校には相変わらず行くことはできなかった。
いつもと同じように、行こうと思うけど身体は動かないし、頭が痛くなる。
先生は心配して電話をくれるけど、諦めたのか少し頻度は減った気がする。
一つ、変わったことがあるとするとあの日以来、あれだけ大好きだったコンビニお菓子に全く興味がなくなった。
食べたくなくなったし、どんな味だったか忘れてしまった。
大好きだったポテトチップのコンソメ味も、チョコレートも、グミも・・・。
どんな味だったか忘れてしまったし、興味がなくなった。
ママは毎日買い足ししなければいけないほどだったのに、一切買い置きが減らないことにすごく驚いて心配した。
「ねぇ、お菓子今日は食べないの?」
「ん?いらない。っていうか、それどんな味だっけ?」
別の日は、
「ねぇ、今日はこれ新作だって!ママ買ってきたの。一緒に食べない?」
「・・・・いらない」
「最近、少しやせたんじゃない?」
「そう?お菓子食べなくなったからじゃない?他はなんでもないけど。」
「そう・・・・?」
大好物だったお菓子を食べなくなったおかげで、やせた私をママは心底心配したのか、学校に行く行かないで責めることはなくなり、私の話をよく聞き、どうしたいのか、どうしていきたいのかと話し合う時間を作るようになった。
ある日、ママはお茶を飲みながら、
「学校に行くだけが正解じゃないのかもね。」と私に言った。
「はは、それ前にも言われた~」
私はソファに寝ころびながら答える。
「え?そうなの?誰に?」
「フフ、夢・・・かな。」
「なにそれ!教えてくれてもいいじゃない」
私は含み笑いを浮かべてそのままマンガを読む。
あの日、公園で会ったおかしな貸本屋にもう一度会ってみたいと思って何度か行ってみたが会うことはなかった。
せっかく小銭もちゃんとしたパーカも着てみたのに。
嘘くさい店にお話だったけど、本当のことで
なんとなくだけど、私はあの日お菓子好きを硬貨として支払ったのかもしれない。
私のお菓子好きを支払ってあの一冊だけなんて高すぎる。
もっと話をしていろんな話を読ませてもらえばよかった。
次に会ったら私が好きだったお菓子分読ませてもらおう。
たまにはお菓子、食べてみようかな。
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