お客様二人目 ~がっこう 第十話~

 他の学校にはない特色を知った僕は、より一層学校生活に打ち込むことになった。

勉強、部活、学校生活。

少し油断してしまったが、あの日から僕は先生の話を一言も聞き漏らさず、熱心に耳を傾け、少しでも疑問があれば先生やクラスメイトに自分が納得するまで質問し、答えを求めた。

最初こそ怖くて震えるほどだったが、”額行”の諸先輩方(同級生もいたが)の教材をありがたく、尊敬のまなざしで見つめ自分の知識を深めるため多いに活用させてもらった。

後で知ったことだが、額行の諸先輩方はこちらからの問にある程度は答えることが可能であった。

近くで観察し、質問すると自分の得意分野であれば答えてくれるのだった。

僕はこの姿になってなお、後輩たちに知識をくれる先輩方の姿に胸を打たれ涙を流して聞いてた。


父も母も学校生活に打ち込みすぎるくらいの僕を大変心配し、ずっと前に夏祭りに行ったメンバに声をかけて僕を街や遊びに連れ出すようにしていたが、僕はすべて断って暇があれば勉強であったり、部活であったり学校主催のボランティア活動に汗を流した。

好きなこと、遊ぶことしか能がないような奴らと一緒にしないで欲しかった。

僕にとっては、いかにいつもと同じように正しく同じ生活、同じ環境で真っすぐ生活し学んでいくかだけが重要であって、遊んだり変化・刺激に溢れる日常を求めてはいないのだ。


 それから怒涛の日々が過ぎ、あっという間に新年度がやって来た。

僕は先輩として、お手本として新入生を迎える立場になった。


「これが本校の生徒としてのあるべき姿になる。

みんなもよく見て、このようになるように!」


生活指導の先生が僕を指さし、大きな声で生徒たちに紹介する。



僕は額の中から生徒たちを見渡し、誇らし気に胸を張り声をかける。

「ようこそ、この学校へ!」














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