お客様二人目 ~がっこう 第三話~
そのまま、穏やかに時間が過ぎ早くも一学期が終了して夏休みになった。
僕の成績は非常にいいものだった。
学業も生活面も全くの問題なし。優秀だと評価された。
特に担任の先生のコメントで
『非常に真面目で優秀。壁に飾ってみんなの手本となってほしいくらいの優秀な生徒』と大絶賛だった。
この結果に父も母もとても喜んで、この学校を選んで正解だったともろ手を挙げて褒めてくれた。
やはり、自分に合った学校を選択した僕の目に狂いはなかったのだ。
自分の選択が間違っていないことを僕は確信し、これで思い切り夏休みを満喫してやると張り切った。
バイトは校則ですることができない分、僕は部活に力を入れた。
言い忘れたが、僕はテニス部に入って部活に精を出した。
週に三日、午前九時から十二時までテニスをし、弁当を食べてまた三時までテニスに打ち込んだ。高校に入ってから初めたテニスだったがルールが明快でやってみるととても楽しく僕は夢中になった。
こちらも顧問に言われたフォームで自分のペースで思ったところにボールが飛んでいくことがとても楽しかった。僕は日焼けで真っ黒になった。
中学では考えられなかったことだ。
部活のない日は、大量の宿題を計画的に実施する時間と量を緻密に計算し進めていった。
そんな夏休みの最中、夏祭りに中学の友達四人に誘われ出かけることになった。
午前中に今日の分の宿題をこなし、夕方出かける準備をする。
「3時間くらいで帰るよ」
母に帰る時間を告げ、待ち合わせの時間丁度に到着するように家を出て集合場所に向かう。
友達四人はもう集合場所に到着していた。
「久しぶり・・・・って、うわー!お前焼けたなー!」
友達の一人が目を丸くして驚いた。
その後僕の頭をグリグリして、
「いよ!高校球児!」
と冷やかした。
僕が、
「ちょっと痛い痛い、僕、テニス部だよ」
とグリグリの手をどけながら言うと、友人はびっくりして、
「テニス部って丸刈りなの?ヤバ!」と答えた。
「いや、そもそも校則で丸刈りなんだよ」
と言うと、もっと驚いた。
別の友人が、
「お前の行った学校なんて名前だっけ?」
と聞くので、
「〇〇高校だよ」
と答えると、
「しらねぇ~厳しいんだな~」と答えた。
そして僕の頭をまたジャリジャリした。
当たり前だ。僕は高校調べはかなり念入りに調べたのだから。
適当に学校を決めたり、行く学校がなかったようなやつらと一緒にしないで欲しい。
そんな友人たちは、みな中学の時とは変わっていた。
髪を染めたり、流行の服を着たり、ピアスを開けているやつもいた。
集合場所で再開した友人たちは自分の髪の自慢をしたり、この財布がどこで売ってるやつで貴重なんだとか、このスニーカー兄貴に内緒で借りて来たなんてどうでもいい話題ばかりで盛り上がっていた。
僕だけが中学の時のままの持ち物で、逆にネタにされて笑われた。
学校ではみんなと同じ僕なのに、今日は僕だけが違う気がした。
だけどこの友人たちも楽な方に流されるやつらなんだと思って、ひとしきり笑われた後、祭りに向かう皆の後に続いた。
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