お客様一人目 ~イモ太 第七話~
私がイモ太が部屋に戻るとイモ太は火が出るごとく怒っていた。
こんな怒ったら勝手に焼き芋になるんじゃないかと思うほどだった。
どうしていいかわからず、ハンカチの上にイモ太を置いてやると、
イモ太は自分を食べることがいかに愚かで人でなしの行為なのかを私に延々と語った。
「こんな知的な生き物を食べるなんてどうかしてる!
可哀そうで涙が出てこないのか?
このまん丸なおなかに包丁を入れるっていうのか?
皮引きで生きたまま皮をむくっていうのか?
自分が体を握られて、そのまま顔の皮をむかれると想像してみろ!
あ~恐ろしい!」
それからイモ太は
「ギャー!」
と叫んで痛がるフリをしていた。
その様子はちょっと面白かったので思わず笑ったら、イモ太はもっと怒って、また同じ話を一から始めて面倒臭いことになった。
イモ太がしくしく悲しそうにしていたらもう少し優しくできると思ったが、
あんまり偉そうでプンプンと怒っているので、優しい気持ちもあまり沸いてこなかった。怒っているイモ太をじっと見てた。
それ以上に、私はイモ太を食べないと目標達成にならず、今後ハムスターやもしかしたらトイプートルを飼うことができないのだ。
お母さんとの約束は、植物を育てて育てたものを食べるところまでだ。
このままイモ太可哀そう・・・・で終わってしまっては、
絶対に
『あら、じゃイモ太を飼えばいいじゃない!よかったわね!』
そういうに決まっている。
目標達成さらにその先のハムスターのためにはこのイモ太を食べなければならない。
私は怒りすぎてハーハー息を切らしているイモ太の呼吸が整うまで待ってから尋ねた。
「ねぇ、イモ太。おしりのこの辺だけ切ったらだめかな?」
イモ太のおしりの方を指ですっとなぞった。
「だめに決まってるだろう!!」
イモ太はまた叫ぶように怒鳴って怒り狂った。
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