お客様一人目 ~イモ太 第四話~
それから数日すると、お母さんが私をしきりにベランダに呼ぶので何かと思ってたら、イモ太から芽が出ていた。
「よかったじゃない!すごいわね!」
お母さんがニコニコして褒めてくれたけど、私はイマイチだった。
ま、確かに芽が出たことはよかったけど、
(あ、出たんだ)くらいにしか思わなかった。
可愛いと思う気持ちも芽生えないまま、そのまま数日が経った。
何かした方がよく育つのかと思い、図書館で調べたら
『ジャガイモは育てやすい』と書いてあった。
・土寄せをしましょう・・・なんとかかんとか
とか書いてあったけど、よくわからないので何もしないことにした。
枯れてしまえばそこまでだとも思って、自分はやっぱりなんでも続かないのかもしれないなぁと思った。
私はそこからイモ太の世話をほとんどしなかった。
ベランダに置いたままで、本当に気向いたときだけイモ太に水をやって、どこから飛んでくるのか知らない雑草をそっと抜いた。
天気がいい日はお日様が当たるし、雨が降れば雨水がイモ太を潤していった。
本の書いてある通りだった。
イモ太は何もしなくても育った。
芽が出て、見る見る大きくなった。
何も世話をしなくても元気そうだった。
小さい芽から葉っぱが出て、どんどん育っていった。
二か月くらい経つと、花も咲いたようだった。
私がその時一番気になっていたのはアイドルの振り付けを覚えることで、
イモ太の観察もしていないからよくわからないけど。
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