お客様一人目 ~イモ太 第一話~
お母さんが、私に言う。
「植物を育ててごらん」
なんでそんなことを言うのかといえば、私が何も続かないから。
ピアノ、ソロバン、ダンス、習字、テニス・・・。
うーんと、他にもいろいろやった気する。
スタートしたときはすっごく楽しくて、これなら絶対続けられると思う。
バッチリ完璧にこなしちゃって、みんなに憧れる私が見える。
だけど、3回くらい目になるとまず行くのが面倒で、どうにもうまくならない自分が嫌になってくる。
5回目くらいになると、もうお手上げ。
行ってるフリして友達と遊びに行っちゃったりしてサボったりしちゃう。
そうなるとお母さんが鬼みたいに怒って、
「タダじゃないの!真剣に取り組みなさい!」って怒鳴る。
分ってるんだけど。
そんなこんなを繰り返して、同じような感じで工作教室を辞めた時に植物を育てることを勧められたって話。
植物じゃつまらないから、ハムスターとか小鳥とかがいいって言ったら、
まだ育ててもいないのに
「死んじゃって可哀そうでしょ!!」ってこれまた鬼みたいに怒るお母さん。
死んじゃってって・・・・。
まだ育ててもないでしょって思う。
植物まったく可愛いと思えないし、動物がいいってダダこねたら、
まずは植物をうまく育てられたら飼ってもいいという話になった。
「その言葉!忘れないでよね!」
お母さんにキっと向かって言うと、
「ハイハ~イ」とお母さんは手をヒラヒラさせて掃除機を取りに行った。
友達がトイプードル飼ってたのを思い出して、植物咲かせるだけで私も飼ってもらえるかもと思うと少しだけ育ててみてもいいかなと思えてきた。
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