第5話 ぶっきらぼうと友達。

「なんだ、ニシ。好きなやつでもいたのか」


「いやぁ、違くてさ。俺じゃなくて、誠な」


「…何が言いたい」

俺にとって、歩が強敵だと…こいつまさか。


「空さん、取られちゃうかもな」

…!? 俺は誰にもこの想いを打ち明けていなかったはずだが、なぜニシはそれを知っているんだ!?


「…何の話だ」


「お。とぼけちゃうのね〜。ま、誠がいいならいいけど」


「だから、何の話だ」

なぜバレたんだ。他の人も気づいているのか?


「空さんがノート回収するとき、誠、下向いて渡すだろ? 他のやつからしたらぶっきらぼうな渡し方してーって感じだろうけど…あれって照れてんだろ? 幼馴染は騙せねぇぞ〜」

なるほど…! 確かに俺は空さんの目を見て話すことができない。いや、話してないが。物を渡す時の仕草でバレるとは恐るべし、幼馴染…。


「…すごいな、ニシは」


「え。まじ? 当たってたの〜。俺すご!」

…認めるまで半信半疑だったのか。く…濁せばよかったか。


「…誰にも言うな」


「わーかってるってー。でも、いいのかよ。空さん、歩にとられても」


「…」

確かに、俺は空さんが好きだ。だが、空さんが俺を好きなはずがないことはわかっている。これまで、女子に告白されたことはないし、それどころか、俺は女子に怖がられているらしい。そんな、俺が期待などできるはずがない。


「俺が協力してやろうか?」

俺1人の力ではどうにもならないし、期待するのも良くないが…。ニシが協力したいって言うなら、まぁ、話を聞いてやってもいいか。


「…どうやってだ」

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ぶっきらぼうでも恋がしたい オリオン @orion-ringo

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