第6話 二宮部長
綾は普通の生活に戻りつつあった。
もちろん圭吾に裏切られたことはまだ綾の心に中を支配してはいたけど。
それよりも厄介なのは、会社。
社内恋愛だったから、それなりに二人の事は聞かれる。
今日も、
「ねぇ、綾、この前東京行ったんだって?ね、どうだった?成功した?」
未だ別れたことは言えずにいた。
「ん、んー、それなりにね」
「またまたぁ、はぐらかして~!この幸せ者!!」
顔が引きつりそう、だんだん血の気が引いてくのが分かる。
あたし上手に笑えてる?誤魔化せてる?
いたたまれなくなって席を立とうとしたとき、
「前園さん!ちょっと。」
二宮部長からだ。綾は助かったとばかりに部長の元へ走って行った。
「部長、どうされました?」
「これを手伝ってくれるかね?」
爽やかな笑顔が眩しい。二宮部長は女子社員の人気者。
身長は180㎝くらい、まだ35歳だというのに部長職で独身。
いわゆる、顔だちの整ったいわゆるイケメンタイプ。
清潔感もあり、きちんとスーツを着こなしていてシュッとしてる。
しかも優しい性格なので女性社員からのアプローチも熱い。
「いつまで仕上げましょうか?」
「申し訳ないが、今日中にお願いしたいのだが…」
え?この量を?ざっと見積もっても終礼には間に合わないと思われるデータの量。
でも、事務魂が燃えた綾。
「承知しました。後ほど仕上げて机に置いておきます」
「すまないね、よろしく頼む」
本当にすまないという顔をして頭を下げてくれた。
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