第4話 ソウルメイト
メールを開いた綾は驚いていた。
「メールの返事をくれないね。元気ならいいんだけど」
そういつかも届いた あの メールアドレスからだった。
いつもなら無視をする綾だったが、今日は人恋しかった・・・誰でもいいから話を聞いて欲しいと思っていた。
綾は返信のボタンを押した。
“今日は元気じゃないの。凄く哀しい事があって・・・”
「どんな哀しい事があったの?話を聞くよ」
綾は少し迷ったが、
“あたし、振られちゃったみたいなんだ・・”と打ち込みながら、近くにあったバス停に腰掛けた。
しばらくすると、暗くなった液晶にメール受信の文字が浮かぶ。
「君を振った…?彼が?」
綾は複雑な気分になりながらも、ちょっと嬉しさにも似た気分も同時に感じた。
“今さっき、別れを言われたの。他に彼女が居たみたい。あたしって一体何だったんだろうって思う”
人通りもまばらな歩道で木枯らしが舞う・・・綾は寂しさが倍増するような気持ちになった。
「君は素敵な女性だよ。彼には彼なりの理由があったんじゃいかな?それか、ソウルメイトではなかったとか」
“ソウルメイト?”
「ツインソウルとも言うね。君の永遠のパートナーさ」
“じゃぁ、他に赤い糸の人が居るって言うことね”
「そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない。だから悲しむ必要なんてないんだよ」
綾はだんだん気持ちが晴れていく気がした。少しの言葉だけど、悲しみから開放されるような。
それと同時にどこか懐かしい、優しい気持ちが流れ込んできたのだ。
それから、このメールの主との奇妙な関係が始まった。
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