第1話 綾
綾はこんこんと眠りについていた。
化粧を取るのも忘れてソファーでごろんと横になったまま眠っていた。
と言うのも今日は月次決算で、くたくたに疲れていたからだ。
どのくらいの時間が経っただろうか?
ちゃららん♪ ちゃららん♪
「うう~ん」 綾は寝返りを打ちながら、何だろうと思った。眠気眼で時計を見ると、真夜中の2時を差している。 「はっ!」とたんに我に帰る。 メールだ!圭吾からかも知れない。
綾は嬉しくなりながらメールを開いた。
「元気してる?」
そのひと言だった。 綾は哀しくなりながらメールの返信を押そうとしていて手を止めた。
綾の見知らぬメールアドレスがそこに表示されていたからだ。
「え・・・?誰だろう?友達がアドレス変えたのかな?」そんな事を思いながらボーっと携帯の液晶画面を
見つめた。 ・・・・・そう言えば、圭吾から最後にメールが来たのはいつだっただろう。あたしから送ってばかりで返事はいつも次の日。
いつも貴方の声を聞きたいのに。いつも貴方を感じて居たいのに。
昨日もメールを送ったのに。
・・・・・・・・
ぽたっ ぽたっ ぽたっ ぽたっ
暗くなった液晶を涙が濡らす。 後から後から涙が溢れて止まらない・・・
綾はまるで自分が暗い海の底に沈んでいるようかのように思えてたまらなかった。
ちゃららん♪ ちゃららん♪
「今度こそ雅之だわ」なんて思いながらメールを開くと、
「元気を出して」
良く見るとまたさっきのアドレスから。
綾はまるで今の自分を見られている様で部屋を見渡した。真っ暗闇だ。カーテンも閉まっている。
「誰からだろう?気味が悪いわ」綾はいたずらメールだろうと無視することにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます