第21話 有限

限り有るもの…は数え上げたらキリがない。


〖 〗


其は常に我々を取り巻いており、見えない恐怖を密やかにあたえ続ける。其の訪れを視覚では認識出来ないものだから、考えなければ平穏無事に日常を過ごしてしまいがちだ。

だが、其を意識してしまった途端いつ何時…今かこの先かと、思考を支配しかねない存在でもある。まるで辺り一面…透明な分厚い硝子板に覆われた箱に囲まれている気がしてならないのだ。また、永久を連想させる崇高さをあわせ持ち、一種の畏怖を感じさせるのも事実。


…そして時折…

垣間見える未知の凶悪さとは裏腹に永劫の静寂を以て我々を魅了さえする。

其の存在に生涯囚われ続けている筈の我々だが、現状どうであろう…

ありふれた平和な生活にひたり、日々希薄となる危機感。ひょっとすると其の存在を無視し忘却し、終には怠惰させる危険性を孕んでいるのだ。

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