Monadology

第20話 彼の者は騙(かた)る

仮初かりそめの老いを手に入れてしまった私には、全てが真新しく新鮮なものに感じられた。それは所謂いわゆる、思想と懸想による老いから来るのである。

目から鱗の経験をしたのは初めてのことだ。

理論によってめざめ、人の魂を拠り所にして生きる。其のように息巻いて何処へ向かうのか…

仕方なかろう。

外界ばかりを追いかけ仮初を磨くわけにはいかなかったのだよ。

私が息巻いている。

この私がだ。

独りの少女にって駆り立てられ、追い立てられ、息づいている…

此は芽吹きだ。

新たな生命の始まりだ。


哲学はいつも「人をして」成るものである。

押並おしなべて我が身をもって制すべきかだいである。


極めて理性的な話をする際、日常や生活に潜む慾望をててかたることは出来ず、三大欲求の基に人々は営み社会を形成している。

知識や学問をする中で、哲学的思考を生むのは他ならぬ生活である。

大から小まで様々な欲…此に限らず煩わしさや苛立ち、人々の日常生活に溢れる物事の描写に含まれる…若しくはあらわれる『  』が存在する。

その『  』に焦点を当て、我々は日夜研究を重ねてきた理由わけだが…細部まで観察するのに少しばかり疲れてしまったようだ。

これ以降はマンネリ、怠惰の素描になりかねない危険性を孕んでいる。


兎に角、今後、私の役目は彼女の資質をみがき上げるに徹するのみだ。

先に待つ未来…

取り分け、能力者による活気に満ちた世界。

其の盛り立て役を勝手出たまでなのである。


後の事は能力者達かのじょらへ一任しようではないか。

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