第6話 NightAir
「○○市民プール…って
全く見覚えのない小さな市営のプール…突如その駐車場を指し示したカーナビは、まるで急かすように蒼白い
『はぁ………何だかなぁ。』
ポンッ…!□□道を通るルートです。
「うわっ…!喋った!?」
心を見透かされたのか、今まで静寂を護っていたカーナビが
ポンッ…!3km先、右方向です。
「はいはいはいはいっ…!わかったから、行きますって!」
考える間を与えず、次々とルートを指定してくる…カーナビにまで指示される日が来ようとは。
ウィンカーを出し右折の準備をしながら
ツンと爽やかな薫りが鼻を通り抜ける。白い粒を奥歯の
ミントの清涼感たっぷりで幕を開けたカーナビとの二人旅。
もしかしたら夢かもしれない…いや、そうであって欲しい…と不安を掠めながらも、
ポンッ…!○○インター左方向出口です。
「おっ…もう降りるのか。」
出口は目の前…誰も気に止めることのないウィンカーを出す。
カランッ…左折をした車の揺れにほんの
午後7時33分…高速に乗って1時間弱…目的なしの
高速出口のバーが勢いよく開いた。
ポンッ…!この先、交差点を左方向です。
「うわっ…なんだこれ…。」
道路脇…びっしりと蒼い
蛍光灯よりも暗く蒼白い光に不気味さが増す。生まれて初めての異様な光景に
『現実にこんな景色があり得るなんて…なあ。』
真っ黒な怪物が
たった独り…
後日知ったのだが、あの蒼白い街灯は虫除けの為にブラックライトを使用しているとのこと。
ポンッ…!600m先、右方向です。その先しばらく道なりに進むルートです。
カーナビだけでも反応してくれることが救いになる。道なりが続く度、ほんの
光る画面に
『そういや、コンビニで買った珈琲とサンドイッチがあったな…。』
小旅行の結末を
「ちょっと進路変更したいんだけど…夕飯もまだだし、いいよな。」
…。
静かに鈍く光を落としたカーナビの様子を
臨海公園の看板が目に
車の窓越しにそっと波音が聴こえる。
眼前には闇…その向こうに広がる海を想像してドアを開けると、世界は一変した。
少しずつ
たなびくYシャツ、乱れる髪、しなるパンツスーツ…顔、胸と腹、
身体中が
…
ザッと
身体が風に
雲間が切れ、月が見え隠れする。
暗がりの
その
男は
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