第17話:遊園地デートからの告白
遊園地に着いた。僕も江住さんもお互い初めてのデートだったけど、二人ともこのデートを成功させたいと思ってフォローし合っていた。
目的の駅に着いて遊園地の方向が分からなくなった時は、二人でスマホの地図アプリを立ち上げて右を向いたり、左を向いたりして笑った。正しい方角が分かった時には思わず、ハイタッチしてしまった。
チケットを買って、遊園地にはいたら思った以上にたくさんの人がいた。さすが、日曜日。そこで、僕は一つ提案をした。
「江住さん、はぐれない様に、よかったら、手をつながない?」
「……うん」
お互いめちゃくちゃ照れながら手をつないだ。僕がこんなに強気で(?)言えたのも取説に書き加えた一文があったからだ。
―――
遊園地では、
―――
どうして女の子の手ってこんなに小さくて、柔らかいのか。全ての神経が自分の手に集まっているのが分かる。二人ともつないだ手を見ている。
そのうち、目が合った。
「行こうか」
「うん」
僕たちの遊園地デートが始まった。そう、取説に色々書きこんで失敗のない、成功が約束されたデートが。
最初に乗ったのはジェットコースター。このジェットコースターは落差地域一番で60mってビルの20階から落ちる感じーーーーーっっ⁉
「ぎゃーーーー!」
「きゃーーーー!」
二人とも苦手だったらしい。ジェットコースターは1つ乗れば十分という意見に到達した。
ジェットコースター外にもアトラクションはいくらでもある。
からくりハウスでは、錯覚を利用して座っている自分たちが回転している様に思わされていると分かっているのに、江住さんと二人して大慌てした。
ミラーハウスでは、僕が2回、江住さんが3回鏡にぶつかった。
それぞれのアトラクションには、30分から1時間くらい待つ必要があったけど、江住さんと色々なことを話して待つのも嫌じゃなかった。
そう、ここでも僕は取説に書いていたのだ。
―――
遊園地では何をしても楽しめる。
―――
多少のトラブルはつきものだけど、それでも全く問題なく楽しめたのは、取説に追記していたからだったかもしれない。
今回、僕がデートのために取説に書き込んだことは、もう一つあった。
―――
デートの最後に、
―――
この取説は本物だ。そして、手書きの追記も有効だ。ここまでで全てが証明していた。そして、ついに、今日のデートの大詰め観覧車でも、遠くを眺めてどこまで見えるかで盛り上がった。
帰りも電車で移動。僕は緊張で口数が少なくなってしまった。その分、江住さんが色々話してくれて、話題が尽きることはなかった。
江住さんが降りる駅で僕も一緒に降りた。そして、駅のホームで僕は江住さんに告白したのだった。
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