第1話 ハンターの仕事

 晴れてハンターになったわけだが、最初はソロで一人前になるための教習から始まる。一般にハンターはAからDまでの4階級あり、ギルドカードをもらった段階でD級ハンターとなり、教習を終え、いくつかの依頼を達成するとC級ハンターになる。その後は依頼の達成度合いを加味してギルドからの試験を通ると階級が上がるようになっている。ほとんどのハンターはB級止まりであるが、中にはA級ハンターになるものもおり、彼らは猛者と呼ばれる。そして稀にだが、災害級の敵を単独で打破できるものがいる。彼らはS級ハンターと呼ばれるハンターギルドの中でもほんの一握りの逸材であり、人々の憧れである。


 教習が受けられるのは、2階にあるそこそこ大きな部屋のようだが、入ってみると俺の他には肩の高さで切り揃えられた髪の女の子がいるだけだった。


「こんにちは。俺はユースティン。今日ハンター登録を済ませたばかりなんだ。よろしくな。」


「よろしく、私はティナ。私は昨日登録したんだけど、予定があって教習を受けるのが今日になっちゃったんだ。」


「そうなんだ。ティナは何でハンターに?」


「もちろん、英雄に憧れてよ。ユースティンもそうでしょ?」


「まあ、そうだな。おっと、教官が来たみたいだ。」


「2人とも歓迎しよう、ギルド新人担当教官であるアルスターだ。今日一日よろしく頼む。

 2人には、ハンターの仕事の種類と仕事に付随するあれこれについて一日かけて覚えてもらう。きっちり学んでいけ。」


かなり強面の男性が教壇に立ち俺とティナに話を始めた。


「まず、ハンターの依頼にはいくつか種類がある。薬草や材木の収集といった採集依頼、事務仕事を行う事務依頼、そしてハンターの依頼のメインとなるのが街の外のモンスターを討伐する狩猟依頼の3つだ。中でも、採集依頼と狩猟依頼では知識が必要な場面が出てくる。基本的にはハンターノートに情報が載っているが稀に新しい情報に更新される事がある。常に情報には敏感になっておくんだ。自分の命に関わることになるからな。特に、C級に上がるまではパーティーを組む事ができないからな、自分で情報を集めることを覚えるといい。」


「アルスター教官、質問があります。なぜ、D級ハンターはパーティーを組む事ができないのですか?」


「君はユースティンだったな。いい質問だ。D級というのは、言うなれば見習いだ。確かにパーティーを組めば依頼は捗るだろう。しかし、それでは未熟なままC級になってしまうものも出てきてしまう。過去にそういった事例で問題を起こすハンターが多発したためこういった形になっている。そもそもD級が受けられる依頼はパーティーを組まないと達成できないようなものはないように調整したから、その必要もないがな。」


「なるほど、理解しました。ありがとうございます。」


「さて、次はモンスターについてだな。モンスターにも等級がある。小型モンスターはそのまま小型級と呼ばれる。大型はその脅威度毎にDC BAと上り、その上は災害級と呼ばれる怪物として登録されている。そして数100年に一度だが、厄災級と呼ばれるモンスターが発生することもあるが遭遇すること確率は限りなく低い。そもそもモンスターとは何なのかと思うだろう。モンスターとハンターの歴史は数千年に及ぶもので、中にはおとなしいモンスターは街で飼われてることもある。その凶暴性を加味して討伐するかどうかをギルドが決めている。モンスターについてはこんなところだ。

 最後は武器だな。これはハンターの数だけ種類外があると考えていい。多くのハンターが最初は自分にあった武器を模索するところから始まるものだ。2人は何か希望はあるのか。」


そう言われて俺は少し考え込む。隣に座っているティナはもう使いたい武器が決まっているようで、教官の問いかけに直ぐに答えている。


「私は、ライフル系の武器を使いたいと考えています。」


「ふむ、ティナはライフルか。ライフルは銃弾の種類を変える事で攻撃の多様性を生み出せるし、遠距離からの狙撃など安全マージンをとりやすい。しかし、その分経費が嵩みやすいという点や近づかれた場合の対処などデメリットもある。C級に上がるまではナイフなどを持って近距離の立ち回りを覚える練習して、徐々にライフルに移行する形をとったほうがいいだろう。」


「わかりました。参考にしてみます。」


なるほど、ティナはライフル、いわゆるガンナーが好みなのか。女性のハンターだと弓やライフルなど遠距離武器を好む傾向があるという話は聞いた事がある。それにしてもかなり詳しくアドバイスしてくれるみたいだな。


「よし。それでユースティンは何か使いたい武器はあるのか?」


「教官、それが俺自身悩んでいまして。どちらかといえば近距離で戦える武器をと考えてはいますがなかなかこれといったものがないです。」


「そうか、ティナのように使いたい武器が決まっているものもいればユースティンのように悩むものもいる。D級のうちはギルドから武器の貸し出しをしているしいろんな武器に触ってみるといい。その中でこれといったものがあればそれを使えばよし。しかし中にはオンリーワンの武器を扱うものもいるからな、気長に考えていけ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「よし、じゃあ教習はこれで終わりだ。2人の新たなハンターをあらためて歓迎する。2人とも自分の命を大事にしろよ。」


「「ありがとうございました!」」






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ハンターギルド 英雄に憧れて @lucky_oswald

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