第4話「見つけたやり方」

俺は親父であるパクとペアを組み、

舞台へ立った。



「ハーイ、ワタシMr.ロンよ!今日はね新しい助手の中国人のパクさんも一緒よー」


「久しぶりアルネ!中国人のパクアルヨ!」


「それじゃ、パクさんスプーントッテクタサイ!」


「自分でトレバイイジャナイ」


「おぉ、もう1回いいますね!アレトッテクタサイ」


「自分で取れんだろ?バカなのかよ。そんなことよりワタシノマジックミテクタサイ!」


「あ?おめえ助手だろ?」


「なんだとこら、もっかい言ってみろや!」


「あー何回でも言ってやるよ!俺に負けたんだろ?だから助手なんだろ!早くスプーン取れよ!!」



俺らは舞台上で殴り合いの喧嘩になった。

桜木さんが俺らを慌てて舞台上から引きずり下ろした。



「何てめえら喧嘩なんかしてんだよ!」


「すいません…」


「あれじゃ客が怒って帰……ってない、そうか、おい!喧嘩だよ喧嘩!喧嘩マジック!」


「は?」


「すいません、桜木さん僕もちょっと言ってることが」


その晩、桜木さんは直ぐに俺らの喧嘩マジックの台本を書いてくれた。

確かに面白かった、これなら行けるかもと

パクとも話した。そして、次の日舞台に立った。



「パクさん!アレトッテクタサイ!」


「はい!ロンさんこれアルネ」


パクは、俺に渡す予定のハンカチをハトに変えて渡した。


「おお!ごめんなさいアル!これ仕掛けしかないアル!ビックリね!触った瞬間鳩になったアルヨ!みんなさん!コレアレね仕掛けあるやつ用意してるアル!!!!」


「てめえ!ハトにしてやる!待てコラ!!」


「おーやめるアルやめるアルwwwwww」


「調子乗りやがって!」


観客はドッカンドッカン受けた、

そして、1ヶ月もこの喧嘩マジックを続けてる頃には、8~10人しかいなかった演芸場の客も

300人のキャパが満席の上に立ち見ができるほどになっていた。



その頃には、パクとのコンビネーションもあってきて、客を巻き込むマジックも考え出した。



首にロープをまきつけ俺が引っ張るとスっと抜ける。


「パクさんも簡単に出来るよ!ヤッテミテ!」


「こうしてアルネ」


「えーっとじゃあ、そこのメガネのお客さんステージ上がってキテクタサイ!せーのでヒッパルヨー、はいせーの!」


「……あれ、、ロンさん?ロンさん抜けないアル、、、、抜けないアル、、抜け……抜けないアル!!!!殺す気かあ!!!!!!」



ドッカンドッカンウケた。

俺はこの時代ならふたりで天下を獲れる。

本気でそう思った。


ついに、俺らは俺らだけにしかできない

喧嘩マジックというのを見つけたんだ。


そんな中、パクが俺を呼び出した。


「悪ぃな、新ネタ書いてる時に」


「別にいいよ、俺も新ネタのことで話し合ったし」


「だいぶ、客いじりもできるようになって来たろ」


「そうだな、今度もこういうの考えてるし」


「演芸場飛び出さねえか?」


「は?」


「俺らでもっと大勢の人数笑わせたい。」


「おう?どういうことだよ」


俺がそう言うと、パクは少し緊張した面持ちで

俺に力強い声で



「ふたりでテレビに挑戦しねえか?」




と言った。

それはパクからの思いがけない誘いだった。

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