第17話 対神戦

 「《浮遊》」

 制空権を取られたまま戦うのは不味い。まずは同じ高さまで上がる。

「《防御》《強化》《集中》」

 基本的な魔法をかけ、戦闘態勢に入る。

「終わったか?」

「ああ、お待ちどうさま。まずは――《火球》」

 拳大の大きさの火種が飛び、バウロスに着弾した瞬間、爆発。

 正直、これで倒せるとは思っていない。これは小手調べだ。案の定、煙から出てきたバウロスは無傷だった。

 やはり、聖剣でなければダメージを与えるのは難しいか。

 バウロスが虚空に手を伸ばすと、空間が裂け、そこから一振りの剣が現れた。

「是、裁きの神剣也」

 どうやら向こうも剣でやりあうつもりらしい。ならば答えてやろう。

「うおおおおおお‼」

 《加速》を使い、スピードを上げながらバウロスに向かっていく。

 聖剣と神剣がぶつかり合い、火花が散る。

 しばらくは拮抗していたが、ピシッと嫌な音がして、俺は攻撃をやめた。

 見ると、聖剣に小さなひびが入っていた。

「馬鹿なっ……‼」

 有史以前から存在し、数多の勇者に握られ、数多の魔王を打ち滅ぼした聖剣が、壊れた。

「そもそも聖剣は我々神が魔王に対抗するために人族に与えたもの。神剣と打ち合えぬのは当然の理」

 聖剣が壊れたのを好機と見たのか、バウロスは大振りの一撃を打ち込んできた。

 仕方なくひびが入った聖剣で受け止めるが、バキィという音がして聖剣が折れた。

「勇者であれど、神には勝てん‼」

 そのまま俺は地面に叩き付けられた。

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