第3話 夜は破線
双子あるある、同じ部屋。なんてことはなく、真波とは別室だ。
淡いブルーのシーツが敷かれたベッドに横たわる四肢は、ちょっぴり元気が無さそうだ。ぱち、ぱちと、確かに瞬きをする。いつも夜、寝る前は、明日明後日のことを考える。起きて、身支度を整えて、とか、3限は体育で、4限は理科で、とか。でも不思議と何も考えられなかった。体育は先生が無駄にやる気があるとか、隣の席の佐田くんはとか、お弁当のおかずはなんだろうとか。天井と目を合わせてどうしてだろうね、なんてアイコンタクトをとっても、答えてはくれない。寝返りを打って今度は壁と目を合わせると、
「おやすみなさい」って言われた。そうだ、寝なくてはいけない。私は寝なくちゃいけないんだ。すごく納得して目を閉じた。暗闇でうぉんうぉんと唸る虹色が心強かった。涙を流す心臓がうるさかった。強い意志を持つ爪先がギュッと丸まった。
水溜まりのようなテンポで瞬きをした。ゴムボールみたいに弾む気持ちは持ち合わせていなかった。開けっ放しのカーテンから射す光はレーザーガンのように鋭く、こんな食傷が、と肩を震わせながら身体を起こし、リビングルームへ向かった。朝ご飯はなんだろうと考えた。その前に、制服を脱いでお風呂に入らなくちゃ。
昼を泳ぐ 浮ねり @uneri123
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