14. 決意
「そうだな……私は、どうやら、自分の先祖を始末しなくても済みそうだ」
「師匠が生まれて来なくなったら、未来の男達が気の毒です! 自分の子孫に、こんな美しい女の子が存在している事を誇りに思えるくらい、師匠は素晴らしい存在だって、僕が保証しますから! その事を絶対に忘れないで下さい!」
「私を褒め殺しして命乞いでもしているつもりか、
自分の住んでいる未来では、今まで周囲から聞かされた事の無い自分に向けての褒め言葉に対し、どう受け止めてよいのか困惑気味の
「自分の命はモチロン大事だけど、それ以上に、師匠が未来で生き生きと希望を持って生きてもらいたいんです!」
自分の純粋な願望を
「未来に戻って、また周囲から蔑まれようと、この世にたった1人だけでも、私の瞳を褒めてくれる先祖がいる事だけは確実なのだな! 私の瞳と同じ色をしたガーネットが、こんなにも美しい石という事も分かった! 今や、私はもう怖いもの無しだな!」
「師匠が、笑った顔を初めて見ましたが……思っていた通りでした! とてもキレイです!」
「だから、もうそのように、おだてなくとも良いぞ!」
ぎこちなかった笑みが消え、はにかんでいるような表情になり落ち着かない様子の
「師匠がそうやって笑っている未来が、ずっと続いて欲しいから、僕は決めました!!」
「決めたとは、何をだ?」
志を強く抱いているのは、
「僕は、この通り、何も取り柄が無い人間だけど、これから勉強して、石に関する第一人者になって、この先、ガーネットが封印されない未来を作る!」
「ガーネットが封印されない未来を作る……? そんな事が、
突拍子も無い発言を聴かされたという目付きで
「何事だって、やってみないと分からないです! やっても失敗するかも知れない! でも、やらない事には、そういう未来は絶対訪れないんだから、それを目指して、試してみるだけの価値は有る!」
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