13. ガーネットのような瞳
「そうです! あの……師匠が欲しがってそうに見えたので」
「私は……決して、そんな事を要求したわけではないぞ!」
一度は受け取ろうとしたものの、慌てふためきながら、ガーネットを
「どうしてですか? 過去の物を未来に持ち帰る事を禁じられているんですか?」
「原則としては禁忌であるが、見付からねば良い事を私は何度か体験済みだ! だから、それ自体は、大した問題ではない」
「良かった~! それなら、是非、受け取って下さい、師匠!」
「未来に持ち帰るとか、問題は、そこではない! ガーネットなどを贈られても、私は、
未来では、異性に宝石を贈るというのは、求婚の意味合いが有るのだろう。
「師匠、誤解です! 僕はプロポーズなんて……そういうつもりで、ガーネットを師匠に贈りたかったわけではないんです!」
「そういうつもりではないだと……? 美しい宝石を手にしておきながら? ならば、どのようなつもりだ?」
「こんなに美しい宝石が、師匠の瞳と同じって事で、師匠には自信を持って前を向いて生きて欲しいからです! 手元にガーネットが有ると、未来に戻っても、それが、お守りのように、師匠をいつでも元気付けて、師匠を守ってくれると信じていたいので……」
「そのような意図なら、有難く頂いておこう!」
ばつが悪そうな表情をしながら、サッと小袋に入ったガーネットを受け取った
店から出ると、早速、小袋の中のガーネットが入っているのを確認し、安堵した様子で見入っていた。
「そんな確認しなくても、お金払ったんですから、ちゃんと入ってますよ、師匠」
そんな
「昔は、別物を入れたり、誤魔化される事が有ると習っていた」
自分の振る舞いが笑われている事にカチンとした様子で、
「外国はともかく、日本は、あまりそういう事は無いと思います。それに、パワーストーン店で手に入るような石は、それほど高価じゃないので、大丈夫です!」
そんな
「そうか、この時代の日本では、こんなに容易くガーネットが手に入るのだな」
「こんなにキレイな石なのに、未来の日本では手に入らないガーネット。こうして師匠に見せる事が出来て、気に入ってもらえて、本当に良かったです!」
「私の時代の人々が知らずとも、私自身が、ガーネットの美しさを知っているのだから、それでいいのだ! もはや、自分を卑下する事は無いのだな!」
「そうです! 師匠は、ガーネットと同じ、こんな美しい色の自分の瞳に自信を持って生きて下さい!!」
またつい勢いで、
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