12. ガーネット
クラスメートで初恋の相手である千絵の事は、もちろん今まで通り大好きだが、それとは似て非なる感情が、いつの間にか
身内に抱く無償の愛、自分が加担した事により迫害される事となった
それら全てが混じり合った感情が、千絵への横恋慕よりも大きく傾いているのを感じ取れていた。
「誰よりも強く想っているのか……?」
信じられない気持ちだったが、確かに、
誰もが、その瞳の色を不気味がり、
拒絶しようとしても、緋色の瞳をして生まれて来た限り、それは避ける事の出来ない定めなのだと割り切って生きて来たつもりだった。
そんな待遇に慣れていた
信じられない気持ちと戸惑いが入り混じりながら、少し前にしていた
「ガーネットとは、どの石だ?」
眩いばかりに原石や研磨された石が美しく配置されている売り場。
あまりの煌びやかさに目がチカチカして慣れず、なかなかガーネットを探せない2人。
やっと、原石が見付かったが、それは、
「こんな、毒々しい色合いだったのか……」
「あっ、それは、原石ですから! 僕の言っているイメージとかけ離れています!」
よく見渡しているうちに、その奥に研磨されたラウンドファセットカットの美しいガーネットがガラスのトレイに入っているのを見付け、思わず見惚れた2人。
「美しい……」
初めて目にしたガーネットに、息を飲みながら目を奪われ続ける
「こんな美しい宝石なのに、その色から血を連想させるというだけで、禍々しく忌み嫌ってしまっているなんて、すごくもったいないですよね、未来の人達は……」
「私の瞳の色は、本当に、このガーネットと同じ色に見えているのか?」
自分達の目に見えている物以外のエネルギーも全て映し出してしまうという、未来の鏡を見慣れている
「同じです! こんな美しい瞳をした女性が、その事で、悩み患う未来なんて、僕には、どう考えても納得出来ないです!!」
こうして、初めて緋色の宝石を実際に目の当たりにすると、やっと
「こんなに美しい宝石だったとは……」
パワーストーン店では、他にも色んな美しい宝石が所狭しと並べられていたが、未来でも見慣れて来たそれらの宝石の輝きには目もくれず、ただガーネットの美しさのみに目を奪われ続けていた
「はい、これ、師匠にプレゼントします!」
ラウンドファセットカットのガーネットを1つ購入し、お店の小袋に入れてもらい、
「この美しい石を私に......?」
その瞳は、ガーネット以上の輝きを持って大きく見開かれ、固まった状態になっていた。
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