11. 叶愛との記憶
「それで、私が、その女子に対して何か危害を加えるかと思って、守りたかったわけだな! 殊勝な事だ」
冷やかすというわけでもなく、自分と同じ年頃の女の子が、こんなに想われている状態が羨ましく、それに比べ、今の自分の境遇が寂しく思えてきた
「師匠だって……こんなにキレイなんだから、元の世界に戻れば、沢山の男子達から想われているんでしょう?」
当然の事の如く尋ねた
「前に伝えていたはずだ! もう忘れたのか? 私には、想われ人など1人もいない! 私は周りから、不気味がられていたんだぞ!」
こんなに美しい外見をしている
腑に落ちないが、どこで価値観が歪められたのか、未来はそうなってしまっている事だけは分かった
「僕なんかが言っても、説得力が無いかも知れないですけど……僕も、あの子達も、師匠の事は、本当にキレイだと思ってます! 師匠には、もっと堂々と前を向いて、人生を歩んでもらいたいです!」
「確かに、生きている時代が違う
今までの猛々しい言葉しか発さないイメージの
思わず、また
「師匠、僕は、師匠が未来に戻っても、ずっと師匠の味方で有り続けますから! 忘れないで下さい!」
「何とも情けない響きだな! なんせ、私が去る時には、
部分的記憶喪失装置の存在を忘れていた
前回もその予定だったが、
また
「師匠は、僕の記憶を消すつもりですか?」
「最終的にはそうなるな。そうせねば、我が身が危ういのだから」
部分的という名前が付いているものの、どこまで部分的の範疇に入るのか、
「消去される記憶は、師匠と出逢ってから以降の記憶ですか?」
「そんな長い時間の記憶を空白になどせぬ。
そう言った時の
「僕は、師匠と出逢ったこの記憶を失いたくない! 師匠の事は、絶対に他言しないから、残しておいて下さい!」
僅かな時間だったとしても、自分と過ごしたこの記憶を大事にしようとしている
それは、
が、それ以前に、タイムトラベラーにとって遵守すべきは規則。
現地人と接触した場合、その記憶を抹消するという厳戒な鉄則が有った。
「私の気持ち次第で、規則を曲げる事が出来るものならば、そうしてもおいても良いが、それは無理だ! 第一、
「僕は、師匠にとって、まだ信用に足らない人物なのですか? 仮にも、師匠の祖先なんですよ! それに、今の時点では、もしかしたら……多分、師匠の事を誰よりも強く想っている人間なんです!!」
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