10. 想い人
「痛い! ……師匠、ヒドイです~!」
「ヒドイのはどっちだ! 無断で抱き付いてくるとは! 無礼にもほどがある!」
その2人の様子を離れた位置から見ていたのは、
「あれ、うちのクラスの
「知らない!」
「天津は、てっきり千絵の事が好きだと思っていたのに~! あんな見かけた事の無い感じの、もったいないくらいキレイな彼女がいたとはね~!」
その真由佳の言葉が余計に癇に障り、相手がどんな少女で、
真由佳をその場に取り残し、
「えっ、千絵? まっ、無理もないか~!」
千絵の突然の行動に唖然としていたが、慌てて後を追った真由佳。
「あっ、真鍋さん……」
「
「わっ、すごくキレイな目の色……」
磁石に吸い寄せられるように、その瞳から目が離せなくなる千絵。
後から追い付いた真由佳も、千絵と同様、
「えっ、その目、ガチなやつ? カラコンじゃないんだ?」
自分と同じ年頃の少女2人に凝視され、顔を歪ませた
「そういう好奇の目を向けられるのは、堪えられぬ!」
「師匠、あの子達も悪気が有ったわけではなくて……ただ、師匠のような緋色の瞳は見た事が無くて、美しいから、ついつい見入ってしまっただけなんです! 僕もその気持ちは、よく分かるので……」
十分に距離が開いた所で止まり、いきなり、また走らされて息苦しそうにしている
「は~、苦しいではないか! 自分のペースで疾走するな! こっちは、タイムトラベルしただけで、通常に比べて体力消耗が半端無いのだからな!」
少しの距離を軽く走ってみただけで、ここまで
「すみません、師匠! さっきの女の子達に師匠が、何か手を下したら大変と思って……」
言い訳しながら、千絵を思い浮かべて赤面した
「何をそんなに動じる事が有るのだ? さては……さっきの女子は、
「はい、髪の毛の長い方の真鍋さんは、僕の大事な初恋の人なんです」
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