9. 同情
「
疑問を投げ付けながらも、そこに気を取られていると、目的果たせないまま連れ戻される可能性も高い事に気付いた
「そんな事より、
だが、自分の子孫という未来から来た美少女が、自身の行いによって、存在を消したいと願うほどまでに悩み追い詰められている様子に、罪意識と同情を感じずにいられなかった
「師匠、走ったりするのは得意ですか?」
未来人といえば、瞬時に移動出来る便利そうな乗り物に乗り、走ったりなどはしない先入観を抱いている
「バカにしているのか! 走るくらい容易い事だ!」
「でしたら、もっと全力で走ってもらう事は出来ますか、師匠?」
「私は、こうして全力疾走しているではないか! 大体、なんだ、その
これなら、
「僕はこれでも、決して足はそんなに速い方ではないです。でも、師匠よりは、得意なのかも知れないです。きっとこれは、世代格差というか、時代格差なんでしょうね」
「御託など要らぬ。ほら!」
「この手は……?」
ワンピース姿を見せる為、妹の部屋に案内しようとした時には、拒絶されたのを思い出した
「この時代はまだ、男性は、か弱き女性をエスコートするものではないのか? 歴史の序業で、そう習っておるぞ! 文明人の私は、既に疲れたのだ。それに、
身体能力が劣っている事を自覚し悔しくなりつつも、まずはガーネットを目にする為に、都合の良い方に転換した
「師匠の時代には、もうレディファーストというマナーは無くなっているんですか?」
青白く見える
「そんな慣習など必要とされていない! だが、この時代はまだその名残が有るようだから、それならば、せっかくだから試してみたかった」
この未来からやって来た少女は言動こそ突飛だが、中身は自分達と何ら変わりない年頃の1人の少女なのだと改めて認識出来た。
こんな過去に、単独でやって来るまで追い詰められた気の毒な少女。
そう思うと切なくて、次の瞬間、
思いもよらなかった
「調子に乗るな、
「だって、何だか師匠が可哀想で……」
「
予め企てていた計画を返上するつもりは皆無そうな
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