6. 存在しないように……
「だから言ったろう! ガーネットは不吉な石として、忌み嫌われていると! そんな禍々しい石などに似ていると言われたところで、私は何をどうやって喜べば良いのだ?」
「おかしいですよ~! そんな美しい物の判断基準自体がの狂っている未来では無くて、師匠は、僕と同じ現代に存在しているべきだと思います! そうしたら、類稀な緋色の瞳の美少女として尊ばれる事、間違い無しです! こんなに美しい瞳をしているのに、もったいないですよ~!」
自分の命乞いの為ではなく、
「それはまことか? ……いや、そんな甘い誘惑などに惑わされるものか!」
「本当ですって! カラコン入れて、コスプレしているような人達にとってみれば、生まれながらにそのルックスを持つ師匠をどんなにか羨ましく思いますよ! そうだ、師匠の時代だって、カラコンで、瞳の色くらい誤魔化せますよね?」
「……? カラコンとは、何ぞや?」
未来は、現代以上に近視の人が増加していると仮定し、オシャレも多様化し、カラーコンタクトが普及していると思っていたが、
「コンタクトレンズですよ~! 瞳に被せて、メガネ要らずで視力を良くするアレです! カラーコンタクトレンズというのは、瞳の色を変える目的で作られたコンタクトレンズです」
「ああ、アレか。瞳を傷付けたり、虹彩認証を偽る手段になるから、50年くらい前に使用禁止になった代物の事だな。この時代の人々はあんなものを日常的に使用していたのか、恐ろしい! 製造者も装着者も即、刑務所行きだ!」
身震いするような仕草をした
「へえ~! 22世紀には、存在しなくなった物とか有るんですね~! カラコンがあれば、師匠の悩み解決と思ったんですが、残念です~!」
「私の為というより、
「そりゃあ、僕だって生き延びたいですけど……何より、師匠のそのキレイな緋色の瞳が、この世に存在しなくなってしまうなんて、あまりにももったいないからです!」
「そうやって、
「えっ、僕の結婚相手って、もしかして、真鍋千絵ちゃんですか?」
願望を込めて、自分の好きな女子の名前を言ってみた
自分に子孫がいて、その子孫が
「確かに、そんな名前だったかも知れぬな……なんて私が口を滑らせるとでも思っていたのか? 私が罪人になって追放されてしまうではないか! まあ存在しなくなるのだとしたら、それでもいいが......」
「とにかく、僕の結婚相手を殺したら、僕が二度と結婚できなくなりそうだから、それだけは止めて下さい!!」
懇願してくる
「仕方ないな。ならば、
淡々とした口調で物騒な事を言い放った
「パイプカットって……? 子供を産めなくする為に、アレを切るって事ですか? 絶対に嫌ですよ~!! そんな痛そうな事は!!」
その響きから痛々しい想像をし、断固として拒絶する
「バカな!! それは、
自慢気に高らかに笑った
その狂気の沙汰としか思えないような行動を何とか制する為、必死で策を練ろうとする
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