5. 殺気
窓も開けていないのに、カーテンが揺れた。
今までなら、そんな事が起こったら、可能な限り想像を巡らせ、それまでしていた作業をストップしていたが……
今の
「師匠~!! また現れて下さったのですね~!! 待ってましたよ~!!」
「しつこいぞ! 私は
「決行……とは? 何をですか?」
能天気な
「これから、私は、
「ええ~っ!!」
「
「そんな~!! どうして、僕が死ななくてはならないのですか? わけ分かりません! 僕が師匠に何をしたと言うのですか?」
透明スーツで隠れている手がレーザー銃を握っているのが分かり、慌てて、ジタバタ自己弁護に取りかかった
「これが最期という事に免じて教えてやる事にするか。
「僕が師匠の先祖……? そんなのにわかには信じられないですが……これで、師匠が僕の前に現れたわけが納得出来ました! でも、ご先祖様は大切に扱わなくてはならないって、師匠は親から習わなかったのですか? 第一、僕がいなくなったら、師匠の御両親達も、当然、師匠自身も生まれて来ないんですよ!」
今すぐ殺される事などは全く不本意で、
「家族なんざ糞くらえだ! 私は、この世に存在したくないのだ!」
暴言を吐いた
「どうして? 師匠は、こんなに魅力的な緋色の瞳をしていて、
自分を殺したい理由がそれだったと知り、耳を疑った。
「ぬけぬけと申すな! この瞳の色こそが、私にとっては大問題なんだ!」
「師匠は、こんなキラキラ輝く宝石のように……そう、ガーネットのように美しい瞳をしているのに」
今まで、不気味に扱われた事は多々有ったものの、こんなに間近で宝石に例えられるほど美しいなど愛でられた経験の無かった
ただし、せっかく宝石を例えにされたものの、
「ガーネット……? そんな禍々しい石などに例えられるとは! あの血を連想すると忌み嫌われ、世の中に流通しなくなった石の事か? それは、私にとって全く嬉しい形容ではない!」
「22世紀では、ガーネットがそんな風な扱いをされているんですか? 僕が知っている限りでは、ずっと昔から、ガーネットは『勝利の石』や『信頼と愛の石』として親しまれてきた美しい宝石ですよ! 僕は1月生まれだから、誕生石がガーネットだって知って、すごく嬉しかったんです!」
「誕生石? 私も1月生まれだが……1月の誕生石は、アンモナイトだ!」
「アンモナイトって……化石じゃないですか~! 化石がガーネットに取って変わって1月の誕生石って......? そんなの役不足ですよ~!」
22世紀の宝石事情が随分変化してそうな事に興味を持った
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