4通目
拝啓。
こんな事言われても困るだろ、みたいな事を愚痴…というか話す相手がお前らしかいないんだな、ってふっと思って手紙書いてます。
今日、久しぶりに高校の時の他校の友達のSNSを見た話なんだけどね。
そいつは多分二人に面識無いから簡単に説明すると、同じオンラインゲームで遊んでた友達で、ギターやってる男子だったんだけど。
久しぶりにSNSが目に入ったと思ったら、ゲームストリーマーとして活動してんの。
それも結構大型の企画に呼ばれる位の。
当時の友人が、すげーなーって嬉しさと憧れと同時に
「何かになれてる」そいつにスゲー嫉妬しちゃって。
自分は何にもなれなかったってのに、あいつだけどうして?なんて。
…いや、まぁずっとストリーマーとしてコツコツ活動してたの知ってるし、活躍の幅広げたいからって色々チャレンジしてるのも知ってるんだけどさ。
悔しくて。
ちょっと泣いた。悔しいけど。
多分これは、「あいつだけずるい、憎い」とかじゃなくて
「いいな、羨ましいな、苦しいな」ってやつで。
そういう気持ちを、凪や航にもよく抱いてたな、ってふっと思って。
お前ら、本当に眩しかったんだもん。
悔しくて、でもちょっと格好つけて何でもないフリして。
(多分二人とも気付いてただろうけど)
私は、ずっと何かになりたかった。
というか今でもそう。
他人の眩しさに目を焼かれて、羨ましさと悔しさに心臓を締め付けられて、涙を溢しそうになりながら強がって。
学生時代、1番身近で、その1番先に居たのはお前らだった。
私の日常に欠かせない光。
私の生活に必要な希望。
…こんなこと言うと、多分笑われるだろうけど。
なぁ。
今から「何か」になりたいって言ったら、可笑しいかな。
もう年齢もアラサーで、ろくな経験もスキルもなくて、手にした技術も一回放り投げた自分がさ。
アホらしいかな。
でも、なんとなく凪や航なら許してくれるって、分かってるからお前らに聞いちゃうんだよな。
ホント、卑怯。ズルいな私。
視界を滲ませながら、指先が痺れるような感覚と、締め付けられる胸の痛みを
ただ感じて、受け入れて、諦められるほど私は賢くないし強くないんだよ、多分。
強がりだとしても、二人が頼ってくれていた私は、もう何処にも居ないのかもしれない。
ごめん、ちょっとだけ甘えさせて。
苦しい。
何かになれない自分と
もうそんな時に近くに居てくれた2人に会えないことが。
今でも、何でって考えてしまう。
時代が違えば、タイミングが違えば、場所が違えば…何か1つでも違えば。
こんなこと考えもしなかったかもしれないのに。
…ちょっとだけ、弱気になったって、許してくれると思って甘えてるけど
もしかしたらそろそろ凪あたりには「らしくないー!」とか慰めながら怒られるかもしれないね。
ちゃんと寝て、起きたらぜーんぶリセットして、また明日から頑張るから!大丈夫!です!
ちょっと書きすぎちゃったかな?
また手紙書きます。
二人も頑張ってるだろうから、私も頑張ります!
奏
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