三十四話 森の中
「皆さん。なるべく近場を歩くようお気を付けください。それと、暗くなる前には必ず帰るように。遭難となっては折角の休みも勿体ないですからね」
「わかりました」
みんなが森へ歩いて行く。最低限の装備で来ているが、そこまでの大事にはならないだろう。
それとだが、妖里さんは見つからなかったので、今はここにいない。なので、全員の警戒心は妖里さんに向いている。何をするかわからないからだ。
「できれば静かにしてて欲しいな…。まぁ、無理だろうが…」
「なんでこうなの…」
「まぁ、諦めた方がいいような気もしますけど…。それより、ここの景色、中々いい感じじゃないですか?」
「確かにそうね。不思議右と左で全然違う色をしているわね?同じ木でもこんなに色が違うのは不思議ね」
「日里士、なんでこうなってるか知ってるか?」
「知らねぇ。なんか線が引かれているみたいだな」
「たしかに…。少し奥の木と右の木の色は同じになってる」
たしかに不思議だ。それに、もっと不思議なのは体がこころなしか軽いことだ。
今なら空も飛べるんじゃないか?
「どうなってんだか…。あれ?あそこにいるの妖里さんじゃないか?」
「本当だ。あそこでなにしてるのよ」
「さっさと行って暴こう。変なことになる前に」
そして、みんなで急いでそっちへ向う。
そこへ着くと、妖里さんは何かを作ってるようだった。
「なに変なことしてるの?」
「変なこととは失礼だね?未瑠華。今やってるのはここを小さな公園モドキにしようかなって。ブランコとかハンモックとか…あとなんか」
「そのなんかの部分をしっかりと明かしてください」
「まぁそこに入ってる物を組み立てるくらいだよ」
中に入っている物を確認すると、ブランコ用の紐と太く長い紐があった。
「こっちの紐って何に使うんですか」
「それかい?ターザンローブを作ろうとおもってね!」
一番子供なんじゃ…。いや、メリハリが良いとしよう。楽しむときは楽しんで、真面目にやるときはやる…。一応はそんな人だ。
「本当はできてから紹介しようと思ったんだけど、みんなにバレたならしょうがないや。できれば手伝って
もらえるかな?」
「…いいですよ」
「本当かい!ありがとう」
「しょうがないか…。俺も手伝う」
その後はみんなで木を登ったりして紐を固定していってそれらを作っていった。ただ、一番にブランコに乗った妖里さんが、ブランコごと吹っ飛んだのはとてもおもしろかったと言っておこう。
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