三十三話 早朝にて

朝起きて、いつもと違う天井に驚いたけど、すぐ気付いた。そういえば旅行に来てたな、って。

時間を見るとまだ6時半よりも前の6時だ。いつもより少し早く起きたみたい。


「う〜ん…」


まだ頭がハッキリとしないけど、外に行けば誰かしら起きてるかも。


「あ、妖里さん。おはようございます」


「おぉ、朝早いね。洗面所はあっちだよ」


「ありがとうございます」


取り敢えず顔を洗いに行ってから考えよう。



――――――――――



「よ〜し。あとは…」


「妖里さん。なにしてるんですか?」


なんかニコニコしながら色んな荷物を広げている。


「うん?う〜ん、まぁいいか。実は森の中でハンモックで寝るって一度はやってみたくてね。許可は取ったし丁度良い場所も見つけたからね」


「そうなんですか…」


意外と良さそうだなって思う。徹君たちには内緒で作ろうということらしいから、黙っていよう。


「それと、そろそろ食事が準備できそうだからみんなを呼んでおいて」


「わかりました」


それじゃあみんなの部屋に行こうかな。二人目は誰にしようかな。それとも…いや、変なこと考えてないで、すぐに起こしに行かないと…。



「はい…?」


「徹君、そろそろご飯の時間だって」


「…あぁ、わかった。今行くから待ってて…」


「寝ないでね。あと、みんなも起こすの手伝ってね」


「わかった…」


この調子でどんどんみんなを起こして行こう。



「最後は日里士君か、食堂はあっちだよ。あと僕は少し遅くなるよって伝えといてくれるかい?」


「わかりました。なにかやるんですか?」


「後でね。今は内緒だよ」


「そうですか…。変なことはやめてくださいよ」



食堂では1人分の食事が用意されていた。それぞれがとても美味しくできていた。お家で食べる味と同じくらい美味しい。


「これ美味しいな…。この味噌汁どうなってるんだ…?」


「こちらは私が長年厳選し、やっとの思いで作れた味噌を使用しております。中々作るのが大変でした」


「凄い…!」


珍しく日里士君が食べ物で興奮してる。でも味噌汁だけじゃなくて、他の料理もとても美味しい。すぐに食べ終わっちゃった。


「ごちそうさま。とても美味しかったです」


「はい。お粗末様です。そういえば川が目によく映りますが、森の方へ行って見るのもオススメですよ。あちらの方は不思議な風景ですが、とてもリラックスできるのですよ」


「なるほど、行ってみるのもありだな。未瑠華はどうする?」


「私はちょっと行ってみようかな〜。どうせ明日もあるんだし、オススメされたんだったらその日の内に行くのが礼儀でしょ?」


「そうなのか?知らないが…まぁ、いいか。三人はどうするんだ?」


「私も行ってみたいです」


少し気になる。そういうのに興味があるわけじゃないけど、そういう話を聞いた後だと行ってみたい気持ちが湧いてくる。


「後で行ってみるか?柚香」


「そうだね。少しおもしろそうかも」


「それだったら俺は後で行ってみようかな〜。そうだ、妖里さんが何かしそうだったから気を付けた方がいいぞ」


「また何かしでかすのか…。もう何度目だ…。三人が入ってからもとどまることを知らないな」


「そうね。もう諦めた方がいいわよ」


「それはわかつてるけどな…そうだが。いや、でも…!」


「それは後で考えて、今は森へ行って見ましょ」


「そうだな。そうする」


そうしてみんなで森を探検することになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る